こんなに怖いウイルスに出合ったことがない...大谷義夫先生に聞く「新型コロナウイルス」の基礎知識

4月から続いた緊急事態宣言が解除されたものの、新型コロナウイルスにはいまだ気が抜けません。患者数は国内では減りましたが、諸外国では大流行が続いており、日本でもいつ第2の流行の波が来るか分からない状況です。今回は、池袋大谷クリニック院長大谷義夫先生に新型コロナウイルスの症状や感染経路について詳しく教えていただきました。

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無症状の人からも感染。油断は大敵!

4月から続いた緊急事態宣言が解除されたものの、新型コロナウイルスにはいまだ気が抜けません。

患者数は国内では減りましたが、諸外国では大流行が続いており、日本でもいつ第2の流行の波が来るか分からない状況です。

「新型コロナウイルスは、必ずしも症状のある方から感染するわけではありません。症状のない人からも感染するリスクがあります。日本は諸外国と比べてPCR検査の実施数が少なく、咳や発熱といった症状のない不顕性感染の方や症状の軽い方が、公表された数字以上に潜在的にいる可能性があるのです」と、大谷義夫先生は警鐘を鳴らします。


新型コロナウイルス、どこに感染する?

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「新型コロナウイルス」の主な症状は?

・風邪のような症状
・強いだるさがある
・息苦しさ、呼吸困難がある
・においを感じなくなる (インフルエンザなどでも同様の症状あり)

肺炎へ移行して重症化すると亡くなることも
重症化しやすい人は約2割、致命的な症状に至る人は3~4%か


新型コロナウイルスは、感染してから1~14日(多くは5~6日)の潜伏期間を経て、微熱や喉の痛み、咳といった風邪のような症状が出るといわれています。

加えて、においを感じにくくなる嗅覚障害や、味が分からなくなる味覚障害が起こる人もいます。

症状は風邪やインフルエンザと似ていますが、およそ2割の人は、呼吸困難などを伴う重症肺炎へ急速に移行し、重症化するようです。

糖尿病や心臓病などの持病がある人は重症化しやすいといわれますが、なぜ重症化するのかなど、詳しいことはまだ明らかにされていません。

「40代の知人の医師が、患者さんから新型コロナに感染し、重症化して体外式膜型人工肺(ECMO-エクモ)の治療まで受けました。若いから重症化しづらいとはいえません。分かないことがまだ多い」と大谷先生は指摘します。

重症化したときの治療薬としては、5月7日に「レムデシビル(販売名・ベクルリー)」が国内で薬事承認されました。

新型インフルエンザの流行に備えて日本で開発された「ファビピラビル(販売名・アビガン)」も、新型コロナウイルスへの治療効果が期待されています。

ぜんそく治療薬で吸入ステロイド剤の「シクレソニド(販売名・オルベスコ)」や、HIVの治療薬「ロピナビル、リトナビル(販売名・カレトラ)」なども、新型コロナ治療への研究が進行中です。

一方、ワクチンの開発も進み、英国の製薬会社が9月に供給開始とも報道されています。

ただし、新型コロナウイルスは、すでに変異を繰り返しているとの研究報告もあるため、ワクチンの効果はいまのところ不透明です。

治療薬やワクチンの開発は万全ではありません。

「医者人生でこんなに怖いウイルスに出合ったことがない。空気感染する結核よりも怖い」と大谷先生は話します。

感染の仕組みは?

・付着した物の種類によっては24~72時間程度は感染力を持ち続ける
・感染経路は主に飛沫感染と接触感染

【飛沫感染】
ウイルスや細菌が咳、くしゃみなどにより、細かい唾液や痰などの気道分泌物に包まれて空気中に飛び出し、約2mの範囲で人に感染させること

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咳やくしゃみをする

【感染】吸い込んでしまう

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【接触感染】
皮膚や粘膜の直接的な接触、または医療従事者などの手や医療器具、その他手すりやタオルなどのような物体の表面を介しての間接的な接触により、病原体が付着することで感染すること

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手すりやドアノブに触る→手洗いしないと手に付着する

【感染】目や鼻をこする

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【まとめ読み】アラフィフ世代が気になる病気はここからチェック!

取材・文/安達純子 イラスト/堀江篤史

 

池袋大谷クリニック院長
大谷義夫(おおたに・よしお)先生
2005年に東京医科歯科大学呼吸器内科医局長に就任。米国ミシガン大学などを経て09年より現職。『絶対に休めない医師がやっている最強の体調管理』など著書多数。

この記事は『毎日が発見』2020年7月号に掲載の情報です。

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