アラフィフ女性にとって、身近なテーマである「更年期」。でも、更年期に起こる心身の不調の症状や程度、改善法は本当に人それぞれですよね。そこで、薬剤師やジャーナリストの方に、漢方で更年期症状が快方に向かった方のケースをお聞きする「更年期『漢方』相談室」を連載形式でお届け。第15回は、漢方薬・生薬認定薬剤師の清水みゆきさんに「更年期の冷えのぼせ」についてお聞きしました。
こんにちは、「あんしん漢方(オンラインAI漢方)」で薬剤師として働いている、 清水みゆきです。
40代になってから、顔はほてるのに足は冷える、冷えのぼせで眠れないなどのお悩みをお持ちではありませんか?
それはもしかしたら更年期のせいかもしれません。
45~55歳の閉経前後の10年間は更年期と呼ばれており、この時期は、ホルモンバランスの影響で冷えのぼせを生じることがあります。
冷えのぼせは、冷えとのぼせが共存する状態です。
特に、手足は冷えるのに、顔や上半身はのぼせやほてりを感じるという方が多くみられます。
私の対応したお客様でも、ちょうど更年期の年代の方で、なかなか寝つけないほど足先は冷えるのに、顔はカーッとのぼせると冷えのぼせにお悩みの方がいらっしゃいました。
体調が悪化で義父の介護にも支障が出てしまい、夫婦の大げんかになって大変だったそうです。
そんなNさん(54歳)が漢方で冷えのぼせを改善できた事例を通して、更年期の不調の改善方法をお伝えいたします。
1.更年期の冷えのぼせの原因
更年期やプレ更年期の不調は、卵巣の老化による女性ホルモンの減少や、ストレスが原因です。
ホルモンバランスの乱れによって、自律神経系のバランスが崩れて血行が悪くなり、冷えのぼせが引き起こされます。
漢方では、冷えのぼせは血(血液)や気(生命エネルギー)の滞りが原因と考えます。
血にはからだを温めるはたらきがあります。血が滞ると、余計な熱を生じてほてりやのぼせになる一方で、手足には十分に血が巡らないため、冷えてしまいます。
また、気の巡りが悪くなると、ほてりやのぼせの原因となる熱を生じると同時に、血の巡りも悪くするため、手足に冷えを生じてしまいます。
女性は月経の度に血を消耗するため、更年期になると血が不足し、血から栄養を与えられる気の量や巡りが悪くなるため注意が必要です。
2.冷えのぼせでぐっすり眠れず体調悪化、義父の介護で病院に行く時間もなく、夫と大げんか
54歳女性Nさんのエピソードをご紹介します。
Nさんは専業主婦でご主人と義父の三人暮らし。
二人の息子さんはすでに独立されています。
閉経して2年ほど経った頃から、夏でも足先が冷えて眠れない、手足は冷えるのに顔はほてりがあってぼーっとするというような冷えのぼせの症状に悩まされるようになったそうです。
もともとの冷え性もひどくなって、寒くてスカートなんて着れないし、秋冬はカイロが手放せない、だけど夏場は顔がカーッとあつくなってのぼせる・・・体調がすぐれないせいか、気分もふさぎがちの毎日を過ごしていたそうです。
「冷えたりのぼせたりで体調が悪く、ぐっすり眠れないせいか日中もぼんやりすることが多くなってきました。でも、同居している夫の父親が認知症なので、ちょっと横になって休むなんてとてもできませんし、義父から目が離せず気が休まる時がありません。義父をおいて病院に行くこともできず、体調は悪化の一途・・・『冷えたりほてったり、いったい私のからだはどうなってしまったんだろう』と不安で精神的にも追い詰められてしまいました。
体力的にも精神的にも限界を感じて、週1回だけでもヘルパーさんを頼めないかと夫に相談したのですが、『家の中に他人が入ってくるのは嫌だ!』と一蹴されてカチーン!!『こんなにつらいのに、毎日一人で介護を頑張って、私だけがどうして我慢をしなきゃいけないの?!』と大げんかになってしまいました」
その後、何度もご夫婦で話し合い、結果的にはご主人が『週1回なら』と了解してヘルパーさんに来てもらうようになったそうです。
一人の時間ができてすぐに病院を受診したところ、更年期障害ではないかと言われたとのことでした。
「病院では漢方薬を処方されました。はじめに処方された漢方薬は冷えは少しよくなったような気がしましたが、反対にのぼせがひどくなってしまいました。その後、相談して別の漢方薬に変えてもらったところ、今度はのぼせも悪化せずに、手足がじんわりあったまる感触がありました。漢方には合う合わないがあるんですね。
2週間ほど飲み続けていると、足が冷えてなかなか寝つけなかったのが、ぐっすり眠れるようになってきました。睡眠がしっかりとれると、体力的にも楽になりますね。以前より冷えのぼせの症状はぐっと和らぎましたし、体調が落ち着くと、気持ちにも余裕ができるようになりました。義父の介護は相変わらず大変ですが、漢方にサポートしてもらいながら頑張っていこうと思います」
とNさんは穏やかな笑顔でお話してくださいました。
3.更年期の冷えのぼせは漢方で根本的に改善
女性ホルモンの変化は目に見えないので気がつきにくいですが、40代に入り、以下のような症状が見られる場合は、更年期の影響による冷えのぼせかもしれません。
<これって更年期の冷えのぼせ?チェックリスト>
・もともとの冷えがさらに悪化した
・冷えのぼせだけでなく、頭痛もつらい
・イライラしたり、いらだちを感じたりすることが多い
「できるだけ体に負担のない薬がいい」「飲み続けても大丈夫な薬が欲しい」
そんな方には漢方薬がうってつけです。
漢方は数千年の歴史を持つ伝統医療です。
これまで実に多くの人々のさまざまな症状を治してきました。
古臭いからあやしいというイメージを持つ方もいらっしゃるかもしれませんが、長年の臨床経験をもつ信頼できる医療です。
また漢方は、自然の草木や鉱物からできた生薬で作られています。
こうした自然のもつ力を上手に使うことは、私たちの体の摂理に沿った無理のないやさしい作用をもたらします。
とくに漢方薬は、もともとの体質だからとあきらめていたようなことや、検査では異常が見つからないような不調の根本解決を目指したいときに、その力を発揮してくれます。
また、食事の栄養バランスを意識したり、毎日運動を続けるのは難しいという場合でも、漢方薬なら自分の体質や症状に合うものを飲むだけなので、気軽に継続できるという点もメリットです。
今回Nさんが服用した漢方は「桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)」という更年期の冷えのぼせの症状によく使われる漢方でした。
桂枝茯苓丸は、血の滞りを解消して血行をよくして手足の冷えを改善し、気の巡りをよくすることで上半身ののぼせを和らげる漢方薬です。
更年期の冷えのぼせの改善には、他にも以下の漢方が使われることがあります。
<更年期の冷えのぼせにおすすめの漢方>
●イライラやのぼせやほてり(ホットフラッシュ)が気になる方むけ:加味逍遙散(かみしょうようさん)
乱れた気のバランスや血の巡りをよくして、冷えのぼせを和らげる漢方薬です。
●胃腸が弱く、月経痛や神経痛が気になる方むけ:五積散(ごしゃくさん)
気、血、水、食(飲食物)、寒(冷え)の滞りを改善し、冷えのぼせを和らげる漢方です。
ただ、どのような体質がその不調を招いたのかは人によって異なりますので、ご自身の状況に応じた漢方薬を選ぶことが大切です。
症状だけを見て漢方薬を選択すると、合っていない場合には副作用のリスクも高まります。
できるだけ漢方に精通した医師、薬剤師等にご相談の上で、ご購入ください。
自分に合った漢方薬が知りたい。コスパ良く漢方を飲んでみたい。という方には、「あんしん漢方(オンラインAI漢方)」などの、スマホで気軽に頼めるサービスもおすすめです。
4.漢方で冷えのぼせを改善して更年期を笑顔で過ごしましょう!
「足は氷のように冷たいのに、顔はぼーっとのぼせる感じがする」
「冷えのぼせがひどくてなかなか寝つけない」
その冷えのぼせの症状は更年期障害かもしれません。
漢方でしっかりバランスを整えて、更年期も元気な笑顔で過ごしていきましょう!