アラフィフ女性にとって、身近なテーマである「更年期」。でも、更年期に起こる心身の不調の症状や程度、改善法は本当に人それぞれですよね。そこで、薬剤師やジャーナリストの方に、漢方で更年期症状が快方に向かった方のケースをお聞きする「更年期『漢方』相談室」を連載形式でお届け。第8回は、漢方薬・生薬認定薬剤師の清水みゆきさんに「更年期の冷え」についてお聞きしました。
こんにちは、「あんしん漢方(オンラインAI漢方)」で薬剤師として働いている、 清水みゆきです。
最近、以前よりも冷えが気になる、顔はのぼせるのに足腰は冷えてしょうがない...とお悩みではありませんか?
それはもしかしたら更年期のせいかもしれません。
45~55歳の閉経前後の10年間は更年期と呼ばれており、この時期は、ホルモンバランスの影響で冷えを生じることがあります。
私の対応したお客様でも、生理が不順になってきた50歳前頃から、足腰の冷えがひどくなり、夏場の冷房のせいで職場やスーパーの買い物でも冷えてめまいや倦怠感を感じてつらいという悩みをお持ちの方がいらっしゃいました。
娘さんと一緒にミュージカルを見に行くのを楽しみに仕事に家事にがんばっていたそうですが、冷房がきいた電車や会場に長時間いると冷えて体調が悪くなるため、行けなくなってしまい意気消沈の毎日を過ごしていたそうです。
そんなFさん(51歳)が漢方で冷えを改善できた事例を通して、更年期の不調の改善方法をお伝えいたします。
1.更年期の冷えの原因が知りたい!
更年期は、女性ホルモンが一番激しく変動する時期です。
40歳後半から50歳代になると、女性の体は、女性ホルモンのひとつのエストロゲン(卵胞ホルモン)が急激に減少します。
このホルモンバランスの乱れにより自律神経が不安定な状態になるため、血液の循環が悪くなり冷えやすくなってしまいます。
さらに、忙しさや生活環境の変化によってストレスや疲れが重なると、女性ホルモンの分泌が乱れて、血行が悪くなって冷えが悪化することもあります。
「冷えは万病のもと」といわれており、全身の不調を引き起こすため東洋医学では特に冷えを重要視しています。
冷えは、体に必要な熱を作り出せなかったり、熱を運ぶ仕組みに問題があるため起きると考えます。
東洋医学的には、血(血液)や気(生命エネルギー)が足りない、血や気の巡りが悪い、体に余分な水が溜まっている状態が冷えの原因となります。
また、原因はひとつだけではなく、いくつかの状態が重なって冷えが現れたり、悪化したりしている場合もあります。
2.夏なのに冷えてつらい、冷房が怖くて外出できない!
印象に残っている患者さん、Fさん(51歳)のエピソードをご紹介いたします。
Fさんは事務職勤務で、ご主人と大学生の娘1人の3人家族。
舞台鑑賞が趣味で、お気に入りのミュージカルは複数回観るという明るい女性です。
最初に症状をお伺いしたところ、以前からどちらかというと冷えを感じやすいタイプだったそうですが、生理が不順になった3年ほど前から、特に足腰の冷えがひどくなり、他にも、なかなか疲れがとれない、むくみやめまい、頭痛など、これまでなかった不調が気になるようになってつらいと困っていらっしゃいました。
「もともと冷えはあったので、気のせいかな、そのうち改善するだろうと軽く考えていたんです。ですが、暑い夏になっても、冷えから解放されるどころか、職場や電車でのクーラーによる冷えや外気温との温度差で、かえって体調が悪くなるようになってしまいました。冷えると、めまいや頭痛がしたり、お腹の調子も悪くなってしまうんです。
一方、暑がりの夫はクーラーなしでは寝られないタイプ。私とは体感温度が違います。なので、私は夏でも長袖のパジャマを着て靴下を重ね履きして布団をかぶって寝ています。職場では、温かい飲み物を飲んだり、カーディガンやひざ掛けなどを常備したりしてクーラーの寒さをしのいでいます。ただ、最近はスーパーに買い物に行くだけで、冷凍食品売り場の冷気で冷え切ってめまいや頭痛がします。適当に食材を選んで足早に帰るようになり、ゆっくり買い物することもできず・・・だんだん、外出すること自体が怖くなっています。
舞台鑑賞が趣味で、娘と一緒にミュージカルを観に行くのを楽しみに仕事も家事もがんばっているのですが、冷房が効いた寒い電車に長時間乗ることや会場が冷房で寒いことがつらくなって行けなくなってしまいました。冷えのせいで我慢ばっかり・・・もうすっかり気が滅入ってしまいます」
生きがいだったミュージカル鑑賞の楽しみがなくなって、すっかり元気がなくなってしまったFさん。
ご家族もとても心配されていたそうです。
「そんな時に姉との電話で、私も冷え症で辛かった時期があったけど、漢方を飲んだら良くなったよと教えてもらいました。
冷えは体質だから治らないと思っていたのでびっくりしました。
少しでも冷えを改善できるなら・・・と藁にもすがる思いで自分も漢方を試してみることにしました」
Fさんは漢方薬を飲み始めて2週間ほどで、体が温まって気持ちが落ち着く感じがあり、めまいの頻度が減ってきたそうです。
さらに、つらかった足腰の冷えが和らぎ、スーパーの買い物が苦痛でなくなったとのことでした。
「諦めていた冷え体質が漢方で改善するなんて驚きです。相変わらず寝る時は長袖パジャマで、職場での冷え対策は欠かせませんが、以前のように冷えて体調不調になったり、苦痛を感じたりすることはもうありません。冷えだけでなく、めまいやむくみ、頭痛も軽くなりました。きっと冷えが関係していたんですね。たかが冷えと軽く考えずにもっと早くから漢方を始めたら、こんなに悪化せずにすんだのかもしれません。
ちなみに、漢方を飲んでいた方が体調がよいので、今も続けて飲んでいます。外出先での冷房も怖くなくなったので、また娘と一緒にミュージカル鑑賞にも行けるようになったのが本当にうれしいです。家族も私が元気になって喜んでいます」
生きがいと楽しみを取り戻すことができたFさんは、このように明るい表情でお話して下さいました。
3.更年期の冷えは漢方で根本的に改善
女性ホルモンの変化は目に見えないので気がつきにくいですが、40代に入り、以下のような症状が見られる場合は、更年期の影響で冷えているのかもしれません。
<これって更年期の冷え?チェックリスト>
・下半身は冷えるのに顔はのぼせる、汗をかく
・冷えだけでなくむくみやめまい、イライラもある
・手足が冷たい、冷えで眠れないなど、もともとの冷え症が悪化した
「この冷えってもしかして更年期のせい?」「体質改善して若いころの快適さを取り戻したい!」そんな方におすすめなのが、漢方です。
更年期の不調には漢方が効くことが多く、更年期障害をきっかけに漢方を飲み始めたという女性は多くいらっしゃいます。
一般的に西洋薬よりも副作用が少ないとされておりますし、対症療法ではなく、体質の改善に働きかけることで根本的な解決を目指すものですので、同じ症状を繰り返したくない方に最適です。
また、健康的な食事やセルフケアを毎日続けるのは苦手という方も、医薬品として効果が認められた漢方薬なら、症状や体質に合ったものを毎日飲むだけなので、手間なく気軽に継続できます。
今回Fさんが服用した漢方は「当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)」という更年期の冷えの症状によく使われる漢方でした。
当帰芍薬散は、血の不足や滞りを解消しつつ、水分代謝を整えて体を温め、特に足腰の冷えを改善します。
更年期の冷えの改善には、他にも以下の漢方が使われることがあります。
●当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)
特に手足の冷えが強く、しもやけもできやすい方向けの漢方。
血を補い気や血の巡りをよくして体を温めて、熱をつくるのを手助けして、手足の冷えを改善します。
●桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
顔などにのぼせを感じるが足は冷える方向けの漢方。
滞った血の巡りを解消して熱の偏りをなくし、下半身の冷えを改善します。
なぜ何種類もあるのかというと、同じ冷えであっても、体質や体型などによって、有効な漢方が異なるためです。
体質に合っていない場合は、効果が出ないことや、副作用が出ることもあります。
購入時にはできる限り漢方に精通した医師、薬剤師等にご相談ください。
自分に合った漢方薬が知りたい、コスパ良く漢方を飲んでみたい、という方には、「あんしん漢方(オンラインAI漢方)」などの、スマホで気軽に頼めるサービスもおすすめです。
4.漢方であなたも冷え知らずの毎日を!
下半身は冷えるのに顔はのぼせたり汗をかいたりする、もともとの冷え症がひどくなった、冷えだけでなくむくみやめまい、イライラもある...
その原因は、女性ホルモンの減少で起きる更年期障害のせいかもしれません。
冷え改善は漢方が得意とするところ。
漢方で体のバランスを整えて、更年期も冷え知らずで元気に過ごしていきましょう!