熱中症は自宅でいる時になることが最も多い! この夏、予防のためにやっておきたいこと

熱中症に注意しなければならない季節がやってきました。コロナ禍のステイホームだからといって油断は禁物。熱中症で救急搬送される人の約半数は、屋内で発症しています。また、高齢になるほどなりやすく、男性よりも女性の方が死に至るケースが多いのも特徴です。そこで今回は、東京都健康長寿医療センター研究所 福祉と生活ケア研究チーム協力研究員の野本茂樹(のもと・しげき)先生に「熱中症予防のコツ」についてお聞きしました。

【前回】50歳以上は要注意! 救急搬送された人の約半数は屋内で発症...「熱中症」の基礎知識

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生活習慣の見直しで熱中症を未然に防ぐ

体温が上昇したときには、汗をかいて蒸発する気化熱で体温を下げる仕組みがあります。

高齢になると汗をかきにくくなるので、体温が上がりやすいのと同時に、体温が上がっても下げにくくなるのです。

この状態が続くと、皮膚の表面や呼吸に伴って気道の表面から蒸発する水分の量が増え、脱水症状につながります。

「体内の体液量は、成人で体重の60%程度ですが、高齢者は50%と低くなります。つまり、体内の水分量が若い方と比べて少ないため脱水症状を起こしやすく、症状が出てから水分を補給しても腎機能の低下により、回復に時間がかかるのです」と野本先生は警鐘を鳴らします。

尿を作る腎機能には、体内の水分が足りないと、水分を再吸収して体内に戻す働きがあります。

高齢になるとその機能が低下するため、脱水症状で水を飲んでも尿として排出されてしまうのです。

「『暑くないから』クーラーを入れない、『喉が渇いていないから』水を飲まない。この習慣を変えることが重要といえます」と野本先生。

居間などには温度計を置き、室内が28度になったらクーラーのスイッチを入れましょう。

喉が渇いていなくても、30分~1時間に1回は水分補給を。

涼しい時間帯の運動で発汗しやすい体をキープ

熱中症は、自分の心がけで防ぐことが可能です。

温度調節、水分補給、涼しい服装や換気による体温調節などの他、熱中症になりにくい体を維持するため、日頃の運動も欠かせません。

「発汗しやすい体を保つことが大切です。コロナ自粛で活動量が減り、体力が落ちた方もいるでしょう。朝晩の涼しい時間帯にインターバル速歩(信州大・能勢博先生提唱)を行うなど、運動習慣で代謝を上げましょう」と野本先生はアドバイスします。

インターバル速歩は、3分間の「ゆっくり歩き」と3分間の「スタスタ歩き」を1セットとして、1日5セット以上、週に3~4回行うのがおすすめです。

真夏の日中は気温が高いため、日が昇る前の早朝や、日が落ちた夕方以降に取り組むと良いそうです。

3分間を計るのが面倒なときには、電柱や住宅の区画など、自分で目印にしやすいものを見つけて、「ゆっくり歩き」と「スタスタ歩き」を繰り返してみましょう。

「インターバル速歩の後には、コップ1杯の牛乳を飲むことをおすすめします。牛乳に含まれるたんぱく質により、汗をかきやすい体に。筋力アップの効果も期待できます。牛乳が苦手な方は、ヨーグルトドリンクでも大丈夫です。また、体を動かす前には、必ずコップ1杯の水を飲むなど、水分補給も欠かさないようにしてください」と野本先生。

腎機能の低下が著しい人は、かかりつけ医に水分補給について事前に相談を。

日頃からの生活習慣を見直して、熱中症予防に努め、猛暑の夏を元気に乗り切りましょう!

「家にいるから安心」ではありません!

熱中症というと、真夏の屋外で運動や作業をしているときに起こしやすいイメージですが、救急搬送された人の約半数は屋内で発症しています。

最も多いのは住居。

つまり、自宅で過ごしているときに熱中症になっている人が、最も多いのです。

注意しましょう。

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熱中症予防のためにやっておきたいこと

【運動は「ゆっくり&スタスタ」歩き】

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「ゆっくり歩き」と「スタスタ歩き」を約3分間ずつ行って1セット。1日5セットを目安に。

【まずは温度計で確認を】2107_P089_02.jpg

居間や寝室などに温度計を置いて、暑くなくても28度を超えたらクーラーのスイッチオン!

【水分補給にはコツがある】
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運動や家事など、体を動かす約30分前にコップ1杯の水を。運動後などにはコップ1杯の牛乳がおすすめ。

【予防グッズを活用しよう】

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水で濡らすだけで冷たくなるタオルやスカーフ、ハンディタイプの扇風機などの活用を。

【その他に】
住まいの風通しを良くするため、1階の窓だけでなく2階の窓もオープン。衣類もTシャツなど涼しい装いを。

家族や知人がかかってしまったかな?というときは

涼しい場所に移動して体を冷やす
クーラーを使用した涼しい場所へ移動させ、体を横たえて首や脇の下を冷たいタオルで冷やします。経口補水液などで水分補給も。状態によっては救急車を。

救急安心センター(#7119番)へ電話を
救急車を呼ぶ状態か迷ったときには、各自治体に設置されている救急安心センターへ電話を。電話番号は地域によって異なることもあるため事前に市区町村に確認を。

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取材・文/安達純子 イラスト/堀江篤史

 

<教えてくれた人>
東京都健康長寿医療センター研究所 福祉と生活ケア研究チーム協力研究員 
野本茂樹(のもと・しげき)先生
1977年岡山大学大学院修了、東京大学理学博士取得。独ルール大学、首都大学東京大学院客員准教授などを経て現在に至る。日本生理学会評議員。環境生理学が専門。

この記事は『毎日が発見』2021年7月号に掲載の情報です。

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