自分の体が思うようにならない...、そんな違和感がありませんか? 女性は特に40代以降、更年期や閉経という新しいモードに入っていく過程で、なんらかのトラブルはつきものです。そこで、『マリ先生の健康教室 オトナ女子 あばれるカラダとのつきあい方』(常喜眞理/すばる舎)より、女性家庭医である著者が提案する、それぞれの年代で起こる女性の体の変化への「上手な対応策」を、連載形式でお届けします。
遺伝子の傷が増えがん細胞もあばれだす!?
50代になると、「がん」を発症する方が目に見えて増えてきます。
周囲を見回してみてください。「そういえば、あの人も50代で......」と、思い当たる方がいるのではありませんか?
では、がん細胞とは一体なんでしょうか?
もともとは自分の細胞なのに、正常な細胞と何が違うのでしょうか?
なぜ、この年代から増えてくるのでしょう?
がんの予防を考える前に、その発生メカニズムを簡単に説明しましょう。
遺伝子の中には、細胞を増殖させるアクセルの役割をするものと、逆に細胞の増殖を止めるブレーキの役割を担っているものがあると言われています。両者は必要に応じてアクセルを踏んだりブレーキを踏むことによって、細胞を正常な状態に保っています。たとえば、怪我をすると増殖アクセルが踏まれて傷口を塞ふさぎ、傷が治ればブレーキをかけて増殖を止めるわけです。
ところがアクセル遺伝子やブレーキ遺伝子に傷がつくことにより、アクセルが踏みっぱなしになったり、ブレーキがかからない事態が起こります。
すると、細胞は体の命令を無視して、どんどん増え続けてしまいます。
このようにコントロールを失い、必要もないのに増殖していく細胞は、周囲の組織を破壊していくことになります。これが「がん細胞」です。
がんの発症には、ほかにも免疫などさまざまな要因が絡み合っていますが、「遺伝子の傷」が大きく影響していると言われています。
遺伝子に傷がつく原因としては、化学物質、紫外線や放射線、生活習慣(喫煙や飲酒、食生活)などの外的ストレスや、遺伝が挙げられます。
さて、遺伝子が数カ所傷つくことで、がん細胞ができやすくなるのですが、数カ所傷つくまでには時間がかかります。
50代というのは、長年の体へのストレスにより、その傷が重なってくる頃なんですね。
つまり"がん細胞があばれやすくなっている"のです。
がんというと、これまではどこか他人事のように感じていたかもしれませんが、そろそろ本格的に対策を立てるべき時期がきています。
まずは「がん」を身近なものとして捉え直してください。その気構えの違いが、運命を左右すると言っても過言ではありません。
50代の健康キーワードは、「がん対策」です。
イラスト/加藤陽子
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