「咳が1週間くらい長引いても自然に治るのを待つ」というあなた。放置していると全身に悪影響を及ぼすかもしれません。毎月2000人以上の患者を治療してきた呼吸器の名医・杉原徳彦先生は、実は悪さをしているのは「のどではなく鼻の奥」と言います。そこで、杉原先生の新刊『つらいせきが続いたら鼻の炎症を治しなさい』(あさ出版)から、「長引く咳」の正体から治療法までを毎日9:30に連載形式でお届けします。
まず何科に行けばいいか?
長引く咳の場合、まず受診してほしいのが、「呼吸器内科」です。
呼吸器内科は、空気の通り道である気道のうち、下気道(声帯から下の気管支や肺など)を専門としています。そこで、その長引く咳の原因を探ってもらい、かつ下気道に原因があった場合には、治療を進めてもらいます。
ただ、長引く咳の原因は、下気道だけでなく、上気道に属する「鼻」の疾患にあるケースが少なくありません。
その場合、その治療の専門は「耳鼻科」になりますが、最近は、日本の呼吸器内科の世界でも、下気道と上気道とに分けずに、気道を1本の「道」として見て治療していく、という考え方が浸透してきています。
なので、呼吸器内科でも、とくにぜんそく、さらにはアレルギーを専門にしている医療機関を受診すると、上気道と下気道を診てくれる可能性が高いでしょう。
一方、もし受診した呼吸器内科での治療が下気道中心で、それでもあまり効果を感じない場合、耳鼻咽喉科も受診してみるといいでしょう。
ただ、鼻腔にファイバーを通すファイバー検査や、レントゲン撮影だけでは、なかなか副鼻腔炎は見つかりません。
やはり、CTやMRIで検査してくれる医療機関を選んだほうがいいでしょう。
また、長引く咳を解消していくには、副鼻腔炎がどんなに軽度であっても治療をすることが欠かせません。なので、たとえ軽度であっても、きちんと治療してくれる医療機関を選ぶようにしましょう。
いい医者はどうやって見つけるか
ただ、一般の人が「いい医師」を見つけ出すのは簡単ではありません。昨今は口コミサイトなどもありますが、どこまで信用できるかわかりませんね。
そこで、医師の立場から、「いい医師」を見つけるポイントをお伝えするならば、待合室の混み具合をチェックしてみることです。混んでいれば、「いい医師」がいる確率が高くなります。
というのは、混んでいるということは、医師が1人ひとりの患者の処置をていねいに行っている場合が多いからです。
もちろん、そのぶん待ち時間は長くなります。「いい医師」を見つけようと思ったら、ある程度「待つ」のは覚悟したほうがいいというのが、私の考えです。
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4章にわたり、長引く咳の原因と対策を網羅。咳対策用の枕、マスク、お茶の選び方などセルフケアの実践方法も紹介されています