呼吸器の名医が指摘「急増する長引く咳、実は鼻の炎症のせいかもしれません」

「咳が1週間くらい長引いても自然に治るのを待つ」というあなた。放置していると全身に悪影響を及ぼすかもしれません。毎月2000人以上の患者を治療してきた呼吸器の名医・杉原徳彦先生は、実は悪さをしているのは「のどではなく鼻の奥」と言います。そこで、杉原先生の新刊『つらいせきが続いたら鼻の炎症を治しなさい』(あさ出版)から、「長引く咳」の正体から治療法までを毎日9:30に連載形式でお届けします。

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その咳、「鼻」が原因かもしれません

私は東京で「呼吸器内科・アレルギー科・一般内科」のクリニックを開いていますが、2週間以上たってもおさまらなかったり、場合によっては数年間も続いていたりといった、長引くつらい咳で悩まれている患者さんが、近年、非常に増えています。咳の症状は、続いている期間で

(1)3週間未満の急性咳嗽(がいそう)
(2)3週間以上8週間未満の遷延性咳嗽(せんえんせいがいそう)
(3)8週間以上の慢性咳嗽(がいそう)

の3つに分けられ、そのうちの(2)と(3)が、「長引く咳」に分類されます。ですが、「長引く咳」といっても原因はさまざまです。風邪などウイルス感染症からの長引く咳もあれば、肺炎、急性気管支炎、マイコプラズマ肺炎、百日咳、結核などによる咳もあります。

さらに、気管支ぜんそく、間質性肺炎(肺線維症)、肺がんなど呼吸器疾患による咳、そのほか、心不全、逆流性食道炎など、呼吸器疾患以外の原因によって発生する咳もあります。

そして、原因となっている疾患は、X線検査(レントゲン)やCT検査(コンピューター断層撮影)などの、さまざまな検査で見つけることができます。

2週間治療しても治らない咳が急増!

一方、さまざまな検査を受けてもとくに問題が見つからず、3週間以上続く場合は、「咳ぜんそく」の可能性が考えられます。「咳ぜんそく」は、現在欧米では「気管支ぜんそく」のもっとも軽症なものといわれています。

気管支ぜんそくは、気管支に慢性的な炎症が起こることで、その粘膜が腫れ上がります。そのぶん、空気の通り道である気道が狭くなり、かつ炎症部分から分泌される痰によってさらに気道が狭くなる病気です。

典型的な症状としては、夜間や早朝に咳が止まらない、痰がしょっちゅうからむ、息苦しい、ゼーゼー、ヒューヒューという音がすることなどがあります。

一方、咳ぜんそくは、気管支ぜんそくと同じように気管支に慢性的な炎症はあるものの、気管支がそこまで強く狭くなっていない状態です。

気管支ぜんそくにみられる息苦しさや喘鳴(ぜんめい)、痰のしつこいからみなどはなく、空咳だけが見られるのが特徴です。

症状が軽いとはいえ、そのまま放置すると、約3割が気管支ぜんそくになっていくといわれています。気管支拡張剤とステロイドが混ざった吸入薬を使う治療で、早ければ数日、遅くても2週間で咳の症状はかなりよくなります。

ところが、なかには2週間以上、吸入薬を使ってもまったく症状がよくならないケースがあります。

この場合、原因は、「咳ぜんそく」ではありません。原因として考えられるのが、「鼻の炎症」なのです。何らかの疾患により鼻の内部で炎症が起こり、それが原因で咳が止まらなくなってしまっている可能性があるのです。

そういわれても、ピンとこない人も多いでしょう。しかし、これはじつはけっして、めずらしいことではありません。私の患者さんたちを見ていても、鼻の不調により咳が治らないケースは、かなりの数に上っているのです。

こんな症状に心あたりはありませんか?

□ よくせき払いをする
□ しょっちゅうのどに痰がからむ
□ 急に強くせきこんでしまうことが頻繁にある
□ 胸、のどに圧迫感がある
□ 風邪を引いたあと、せきだけが長く続く
□ 風邪の症状がないのに、せきだけが出る
□ 寝ようとして横になると、せきが出て止まらない
□ 長くしゃべると、せきが止まらなくなる
□ 外に出たとき、または建物の中に入ったときなどにせきが出る

●加えて、こんなこともありませんか?

□ 口が臭いと感じる(口が臭いと言われる)
□ 唇がいつも乾いている
□ ゲップが出て、お腹が張っている感じがする
□ 朝起きたときに、のどが乾燥している
□ 無意識に鼻をすすっている
□ 麺類(汁物)や酢の物を食べるときに、むせることがある
□ イビキがうるさいと言われる
□ 鼻づまりを感じることがある
□ 年に何回も風邪をひく(熱を出す)
□ 突然のどや鼻が痒くなることがある
□ クシャミをくり返すことがある
□ 目ヤニ、涙目、眼の充血や痒みがある
□ 扁桃炎をよく起こす
□ 耳がつまった感じになることが多い

030-shoei.jpg4章にわたり、長引く咳の原因と対策を網羅。咳対策用の枕、マスク、お茶の選び方などセルフケアの実践方法も紹介されています

 

杉原徳彦(すぎはら・なるひこ)

1967年8月13日生まれ。医療法人社団仁友会 仁友クリニック院長。医学博士。専門は呼吸器内科。日本内科学会認定医、日本アレルギー学会専門医、日本スポーツ協会公認スポーツドクター。東京都立府中病院(現・東京都立多摩総合医療センター)呼吸器科勤務を経て現職。上気道と下気道の炎症に着目した独自の視点で喘息診療を行う。

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『つらいせきが続いたら鼻の炎症を治しなさい』

(杉原徳彦/あさ出版)

「長引く咳」「痰がからみやすい」、放置しがちな体のちょっとした異変は、「鼻の炎症」が原因かもしれません。そのままにしておくと、全身に危険が迫る可能性も!?日本全国から毎月2000人以上の患者を受け入れて治療にあたる、呼吸器の名医がまとめた初著書の中には、思い当ることが多すぎて、きっと鼻の治療をすぐに始めたくなります。

※この記事は『つらいせきが続いたら鼻の炎症を治しなさい』(杉原徳彦/あさ出版)からの抜粋です。

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