放っておくと脳出血や脳梗塞、狭心症に心筋梗塞など、さまざまな病気リスクが高まる高血圧。シニア世代に多い高血圧を解消すべく、治療の第一人者であるミスター血圧こと渡辺尚彦先生が経験から導き出した降圧法をご紹介します。
無理なく苦労なく、薬に頼らずに血圧を下げることができるのです!
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渡辺先生は血圧を下げる食材を一生懸命探し、それはピーナッツであるという結論に達したそうです。
「落花生の殻を外して豆だけの状態にしたものです。私はピーナッツの産地でもある千葉県出身ですが、こんな身近に、降圧薬にも負けない血圧を下げる力を持つ食材があるとは思いもしませんでした」とうれしそうに話してくれました。
アメリカのハーバード大学が30年間にわたって約12万人の食生活を調べたところ、死亡率を大きく下げる食材の一つとしてピーナッツが浮かび上がったそうです。ピーナッツは高カロリーで脂肪が多く、ヘルシーではないと思われがちですが、高血圧には有効なのです!
ハーバード大学の研究論文を読んだ渡辺先生は、本当にピーナッツが血圧を下げるのか、早速、実験を行いました。実験は皮付きのピーナッツを毎朝20粒、被験者に食べ続けてもらうという、とてもシンプルな方法でした。
その結果。3~4週間後には血圧が8mmHgも下がり、その状態が維持されたのです。血圧1mmHgは塩分1gに相当するので、ピーナッツ20粒を食べ続けるだけで、約8gの減塩をした計算になります。外食の多い人の1日の塩分摂取量は約14gと言われますから、1日の塩分摂取量は6g未満という日本高血圧学会の推奨値をほぼクリアするわけです。減塩にトライしては挫折してしまう......という人は、ピーナッツを1日20粒食べ続けて血圧を測ってみてください。
渋皮付きピーナッツを毎朝20粒、37日間続けた結果、収縮期血圧が8mmHgも低下しました。これは8gの減塩に相当するすごい結果!
「被験者には塩などで味付けをしていない皮付きのピーナッツを、渋皮と一緒に食べてもらいました」(渡辺先生)。ピーナッツの渋皮には、ポリフェノールがたくさん含まれているのです。ポリフェノールは赤ワイン、お茶、そば、大豆などにも含まれ、高い抗酸化作用を持つことで有名です。
油を多く含むピーナッツですが、とりわけオレイン酸やリノール酸などの不飽和脂肪酸が豊富です。この不飽和脂肪酸には悪玉コレステロールを抑制する作用があります。さらに脂溶性ビタミンの一つで、抗酸化力が強いビタミンEもピーナッツには豊富に含まれています。
ビタミンEは、血管の老化を抑制し、動脈硬化や心筋梗塞などの生活習慣病の予防にも役立ちます。さらにカリウムやマグネシウム、リン、鉄など血圧の安定に役立つミネラルをバランス良く含んでいます。
■1日に食べていいのは20粒
「でも食べ過ぎは禁物です。味付けや油でいったピーナッツも避けてください。逆効果になります!」
乾燥ピーナッツは100gで約560kcalもあり、約半分が脂質の高カロリー食品であることもお忘れなく。バターや油でいって味付けされたものは避けましょう。
■毎日食べたい「いか、たこ、納豆」
血圧を下げる食材は他にもいくつかありますが、渡辺先生がすすめるいかとたこは、交感 神経の働きを抑制し血圧を下げ、コレステロールの排出を促すタウリンを含みます。納豆 は体内のナトリウムを排出するカリウム、食物繊維、血液をサラサラにするナットウキナーゼを含みます。三つの食材を食べる際は、しょうゆやタレではなく酢を使いましょう。
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取材・文/宇山恵子 撮影/米山典子 イラスト/内田尚子