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「低血圧だから朝に弱い」に医学的な根拠はない
低血圧の人は朝に弱い、寝起きが悪いというのは、世の中の常識のようになっている。だが低血圧でも早起きの人がいるし、逆に高血圧で朝寝坊の人もいる。血圧と寝起きの悪さには関係があるのだろうか。
そもそも血圧とは、血液が血管を通るときに血管にかかる圧力のことで、心臓が収縮し、血管にもっとも強く圧力がかかるときの数値が「最高血圧」で、収縮したあと心臓が広がって、いちばん低くなったときの数値が「最低血圧」である。そして、最高血圧が90㎜Hg未満が「低血圧」、最高血圧が140㎜Hg以上か最低血圧が90㎜Hg未満が「高血圧」と呼ばれる。
低血圧は、大きく三つに分類される。まず一つ目が本態性低血圧で、虚弱体質の若い女性に多い。二つ目が起立性低血圧で、立ち上がった瞬間に血圧が急激に低下し、立ちくらみやめまいを引き起こす。健康な人でも、疲れていたり栄養状態が悪かったりするとこの状態になり、ひどい場合には失神する。そして三つ目が症候性低血圧で、これは何らかの疾患があるための低血圧なので、病院でその疾患の治療を受けなくてはならない。
だが医学的には、これらの低血圧と朝の弱さに直接の関係はない。朝が弱い原因として考えられるのは、自律神経の乱れだ。人間は、起きているときには交感神経が優位に働き、眠るときには副交感神経がさかんに働く。この二つの神経の優位が12時間ごとに入れ替わることで、夜には眠くなり朝になると目が覚めるのだが、切り替えがうまくできないと寝起きが悪くなる。
何かの疾患や精神的ショック、更年期障害などが原因で自律神経が乱れることがあるし、遺伝的に自律神経の調整がうまくいかない人もいる。
そうでない場合は、栄養バランスのよい食事をとり、ストレス発散を心がけて適度な運動をしてみるとよい。できることから少しずつでも始めれば、快適な朝を迎えられるようになるだろう。
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