65歳以上にも...増える大人のアトピー性皮膚炎。「飲み薬の新薬」が登場、その効果は?

2020年12月、「既存治療で効果不十分なアトピー性皮膚炎に対する治療薬」として、「オルミエント錠」の適応が追加されました。経口JAK阻害剤(※)でアトピーの適応を持つのは、今回が初めてとなります。広島大学 大学院 医系科学研究科 皮膚科学 教授の秀 道広(ひで・みちひろ)先生に「アトピー性皮膚炎の治療や新薬の効果」について教えていただきました。

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大人のアトピー性皮膚炎が増えています

全国に51万人以上といわれるアトピー性皮膚炎。

近年、種々のタイプの薬が続々と承認されており、昨年末にはオルミエント(一般名・バリシチニブ)が追加されました。

「近年は大人のアトピーが増えています。特徴的な症状はかゆみですが、かゆみによる睡眠障害や抑うつの他、ぜんそくやじんましんなどのアレルギー疾患を引き起こすことも。一見元気に見える人でも、生活の質が大きく低下してしまいます」と、秀道広先生。


【慢性型】
・ 子どもの頃から続く
・ 顔面、全身の湿疹
・ コントロールが難しく重症化しやすい、など

【再発型】
・ 子どもの頃に発症し、一度は治った
・ 大人になってから再度症状がぶり返す

【成人発症型】
・ 20~40歳で発症
・ 65歳以上にも起こる
・ 頭頸部や手の皮膚炎が多い、など


アトピー性皮膚炎は、「強いかゆみ」「肌のバリア障害」「アレルギーを起こしやすい状態」といった複数の要因により引き起こされると秀先生。

薬物治療は、ステロイドなどの炎症を抑える薬が基本です。

新たに適用となったオルミエントは、飲み薬のJAK阻害剤(※)。

これまでの治療で十分な効果が得られなかった中等症以上の患者が対象です。

「オルミエントは、皮膚の炎症やバリア機能の低下を誘発する、さまざまな細胞内のシグナル伝達を阻害する働きがあり、炎症やかゆみを軽減する効果があります」(秀先生)。

副作用として上気道感染(のどや鼻の感染)などが報告されているので、薬剤の扱いに慣れた皮膚科専門医に処方してもらいましょう。

新薬の登場で治療の選択肢が広がり、症状の重い患者にも改善が期待できます。

自己判断で治療を諦めず、一度主治医に相談してみるのがおすすめです。

※ JAK阻害剤とはJAKという酵素を阻害し、免疫反応に関わるサイトカイン(主にたんぱく質からできており、細胞から生産・分泌される物質)を抑えて症状を改善する薬剤。2013年に関節リウマチの治療薬として発売された新しい薬。


治療の3本柱

●薬物療法
・ステロイド外用薬、タクロリムス軟膏(炎症を抑える)
・抗ヒスタミン薬(かゆみや皮膚の腫れを抑える)

スキンケア
皮膚を清潔にし、保湿剤で適度な水分と油分を補う

悪化要因への対策
食物、汗、乾燥、ダニ、ほこり、ペット、ストレスなどの要因を取り除く


新たな治療薬「オルミエント」

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取材・文/オフィス・エム(寳田真由美)イラスト/坂木浩子

 

<教えてくれた人>

広島大学 大学院 医系科学研究科 皮膚科学 教授
秀 道広(ひで・みちひろ)先生

広島大学医学部卒業。米国NIH(NHLBI)研究員、英国ロンドン大学St Thomas's Hospital研究員、厚生連尾道総合病院皮膚科部長、広島大学医学部長などを経て現職。

この記事は『毎日が発見』2021年3月号に掲載の情報です。

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