椎骨動脈解離の症状
椎骨動脈解離が起こると、激しい頭痛が起こったり、狭窄(きょうさく)が強くなると一過性の脳虚血発作や、脳梗塞(のうこうそく)などを引き起こしたりする恐れがあります。また、動脈が完全に破けてしまうと、くも膜下出血などを起こし、致命的になる可能性まであります。椎骨動脈解離はスラスト法のような手技だけでなく、スポーツや交通事故、突然の動作、激しい咳などで首に瞬間的に強い負荷がかかった場合もリスクとなり得ます。
もちろん、スラスト法を施術された人間が全員、椎骨動脈解離を発症するわけではありませんが、そのようなリスクが少なからずあるということは、施術する側も、される側も知っておいたほうがいいでしょう。
もしこのような施術を受けたあとから強い頚部痛が出現したり、嘔吐(おうと)やめまい、麻痺などの症状が出てきたりした場合は、ただちに病院を受診してください。
ちなみに、「なぜ関節がポキポキ鳴るのか」ということについては、もともと有力とされる説が二つありました。一つは関節内の空気が弾けたり、移動したりして音が出るというもの。もう一つは、関節を引っ張ったり曲げたりした際に関節が陰圧(いんあつ)(外よりも気圧が低い状態)になり、そこに関節液が気化し、音がするというものです。MRIによる動画などでの検証の結果、現在は後者が有力であるとされています。
参考文献:Cervical arterial dissections and association with cervical manipulative therapy: a statement for healthcare professionals from the american heart association/american stroke association