年を重ねるほどに増えていく体の「痛み」と「悩み」。寄る年波と思いきや、実は「ろっ骨のゆがみ」が原因となっているかもしれません。近ごろは、外出自粛による座り姿勢の増加や、体に合わない机と椅子での自宅テレワークによって、胸のねじれがよりひどくなる人も増えつつあるとか。そこで、1万5000人以上の体をリハビリで変えてきた理学療法士・田舎中真由美さんの著書『胸ひらきで調子のいい自分がずっと続く』(主婦の友インフォス)から、体の調子を悪くする原因と、つぶれてゆがんだ「ろっ骨」を伸ばしてリセットできる著者考案の「胸ひらき」ポーズの一部を抜粋してお届けします。
【前回:片頭痛から便秘まで・・・体のゆがみが引き起こす代表的な「10の不調」】
問題は胸の「つぶれ」と「ねじれ」
だからこそ「胸ひらき」でリセット
多くの人は「ろっ骨が動く」と聞くと驚くかもしれません。
しかし、ろっ骨は一本一本が背骨にくっついているので、背骨が縮むとつぶれますし、ねじれれば一緒にゆがみます。
また同時に、ろっ骨とろっ骨の間の筋肉も、つぶれたりよじれたりするのです。
胸をひらけばお腹や背中がピンと伸びます。
すると、かたくなりつぶれていたあちこちの筋肉が働き始め、頭や骨盤、背骨がよい位置に戻り、よい姿勢を楽に保てます。
その結果、血流がよくなる、呼吸が深くなるなどの変化が起こり、痛みや不調も軽減。
みるみる心地よい体に変わっていきます。
「胸ひらき」は、ただ伸ばすストレッチとは違います!
「胸ひらき」では、つぶれたりゆがんだりしたろっ骨を気持ちよく伸ばし、ゆがみをリセットします。
このメソッドは一般的なストレッチや、朝の起き抜けやひと休みしたいときにグーッと体を伸ばす「伸び」とは少し異なります。
その肝となるのが呼吸。
つぶれたりゆがんだりしたろっ骨を広げるイメージで、くり返し呼吸することで、体の内側からも筋肉を伸ばすのです。
"ポーズ"で外側の筋肉(アウターマッスル)を、ポーズ中の"呼吸"で内側の筋肉(インナーマッスル)を使って整えてくれる。
「胸ひらき」なら、体の根本からゆがみをリセットできるのです。
胸ひらきが肩こり・片頭痛にいいワケ
頭の位置を整えてコリ&血流を改善!
肩こりや片頭痛の原因は、体のゆがみによる筋肉のアンバランスや血流の滞りが考えられます。
胸がゆがむと、ろっ骨と骨盤の位置がずれることで、呼吸を司るインナーマッスルが働きにくくなります。
すると「息を深く吸い、しっかりと吐き切る」ことが難しくなり、体は「頑張って」呼吸を深めようとします。
このとき、首や肩に余計な力が入り、筋肉をカチコチにかためてしまいます。
また、呼吸が浅くなると血流も悪化。
コリはひどくなる一方です。
さらに、姿勢が崩れると頭の位置も悪くなります。
毎日、重たい頭を支える首や肩の一部の筋肉には強い負担がかかり、緊張し続けます。
緊張した筋肉が血管を締め付けるため血行不良を起こし、緊張性頭痛の引き金になります。
胸をひらいてリセットすると頭が正しい位置に戻り、首や肩の緊張がゆるみ、血行も促されます。
結果、コリや頭痛の解消が期待できるのです。
胸ひらきに関わるインナーマッスルは上の4つ。
胸がゆがむと、このインナーマッスルがうまく使えなくなり、呼吸が浅くなります。
《実感してみよう! 呼吸の深さ》
背中を丸めて行う呼吸と背筋を伸ばしたときの呼吸を比べてください。
より深く呼吸できるのは、よい姿勢のときではないでしょうか?
悪い姿勢で行う呼吸は、肩が上がって余計な力が入ります。
この状態が続くと筋肉が緊張して肩こりや片頭痛を引き起こします。
【次回:お腹ぽっこりや尿もれに。悩み多き女性の体に「胸ひらきポーズ」がいいワケ】
【最初から読む】あなたの体、ゆがんでませんか?10秒で分かる体の「ゆがみ診断」
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