年を重ねるほどに増えていく体の「痛み」と「悩み」。寄る年波と思いきや、実は「ろっ骨のゆがみ」が原因となっているかもしれません。近ごろは、外出自粛による座り姿勢の増加や、体に合わない机と椅子での自宅テレワークによって、胸のねじれがよりひどくなる人も増えつつあるとか。そこで、1万5000人以上の体をリハビリで変えてきた理学療法士・田舎中真由美さんの著書『胸ひらきで調子のいい自分がずっと続く』(主婦の友インフォス)から、体の調子を悪くする原因と、つぶれてゆがんだ「ろっ骨」を伸ばしてリセットできる著者考案の「胸ひらき」ポーズの一部を抜粋してお届けします。
【前回:体、ゆがんでませんか? 10秒で分かる「体のゆがみ診断」】
ゆがむのは「骨盤」だけじゃない! 胸(ろっ骨)も一緒にゆがんでいます
では、体のゆがみの代表例をよーく見てみましょう。
"体のゆがみ"と聞くと、ほとんどの方が"骨盤のゆがみ"を思い浮かべると思います。
しかし、胸がつぶれたり、ねじれたり、傾いたり、ずれたりと、実は骨盤だけでなく、胸もゆがんでいることがわかります。
体は骨や筋肉、筋膜などで全身がつながっています。
そして、常に顔が正面を向くように、どこかがゆがんでも、別の場所をゆがめて全体のバランスをとろうとします。
ですから、骨盤だけ一生懸命に矯正しても、胸まわりのゆがみを整えない限り、体のゆがみはなくならないのです。
【ゆがみ例】①猫背ゆがみ
骨盤が後傾し背中が丸くなることで、胸がつぶれてしまうタイプ。
【ゆがみ例】②ねじれゆがみ
骨盤から胸が左右どちらか一方にねじれているタイプ。体が正面を向いていません。
【ゆがみ例】③上下ゆがみ
肩の高さに左右差があるタイプ。前から見ると体が"S字カーブ"型にゆがんでいます。
【ゆがみ例】④ずれゆがみ
胸が骨盤の真上ではなく、左右どちらかにずれているタイプ。ゆがみ例②とセットで起こります。
体がゆがんだままだとこんな不調が待っています!
体のゆがみはさまざまな不調の原因になります。
また、ゆがみを放置すると、将来的にはますますゆがみ、気づいたら骨まで変形してしまう人も......。
ゆがみは加齢とともにどんどん進行します。
気づいた今こそ、調整するベストタイミングです。
①片頭痛
胸がゆがむと一部の首や肩の深部の筋肉が張り、血管を締め付けます。すると血行不良を起こし、緊張性頭痛の原因に。
②四十肩・五十肩
姿勢のゆがみは肩の位置もゆがませます。すると肩まわりの筋肉が動きにくくなる、腱が傷つくなどで痛みが出ます。
③肩こり
姿勢が悪くなり胸がゆがむと、首や肩まわりの筋肉の一部に強い負担がかかり、緊張。それがコリとなって現れます。
④お腹ぽっこり
前かがみの姿勢で胸が縮むと骨盤も後傾。それにより内臓が下がりながら前に押し出され、お腹が出ます。
⑤疲れやすい
胸がゆがむと体は姿勢を保とうとあちこちの筋肉に無理をさせます。結果、筋肉が疲弊し、疲れがとれない状態に。
⑥内臓下垂
お腹が伸びていれば正しい位置にある内臓も、胸がつぶれることで圧迫されます。血流の低下にもつながります。
⑦腰痛
胸や骨盤がゆがむと、両者にはさまれた腰のエリアが頑張って体や動きを補強します。するとあらゆる負担が腰にかかり、痛みを発症。
⑧尿もれ
体がゆがむと不要な腹圧が内臓にかかるため、筋肉がうまく使えず、尿もれの原因になります。
⑨便秘
胸が縮み骨盤が後傾し、内臓の位置が下がると腸がたわみます。すると排便のための動きが鈍くなり、便秘がちに。
⑩血流の悪化
前かがみ姿勢で胸がつぶれると呼吸が浅くなり血流が悪化。また股関節が詰まりリンパの流れも阻害します。様々な不調の引き金に。
【次回:「ストレッチ」とは違います。理学療法士考案の「胸ひらき」が肩こり&片頭痛にいい理由】
【最初から読む】あなたの体、ゆがんでませんか?10秒で分かる体の「ゆがみ診断」
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