1度骨折すると、次の骨折リスクは2~3倍!/圧迫骨折

1度骨折すると、次の骨折リスクは2~3倍!/圧迫骨折 pixta_17683712_S.jpg背骨は、首から腰まで24個の骨がつながってできていて、それぞれの骨の積み重なっている円筒形の部分を「椎体(ついたい)」といいます。圧迫骨折とは、この椎体が潰れてしまう骨折です。高齢の女性に多く、尻もちをつく、重い物を持つなどの大きな負荷、そして骨粗鬆症が主な原因です。背骨は体を支え、脊髄を保護する重要な役割を果たしています。この背骨が潰れてしまうと、強い痛みや日常生活への支障が出るほか、身長が縮んだり、背中が丸まったりして、見た目の老化にもつながります。

今回は圧迫骨折の症状や治療法、圧迫骨折の原因となる骨粗鬆症について、伊奈病院整形外科部長の石橋英明先生にお話を伺いました。

前の記事「身長が2㎝以上低くなった、背中が丸い。それ、圧迫骨折かも?/圧迫骨折(1)」はこちら。

 

背中や腰の痛み・曲がりが気になったらエックス線撮影で確認を

背骨の圧迫骨折は、尻もちをつく、重い物を持つなどで背骨がつぶれる骨折のことです。圧迫骨折を起こすと、背中や腰の強い痛みが出て動けなくなるのが一般的です。ですが、圧迫骨折の半分以上は、知らない間に骨がつぶれ、何も症状がなく、レントゲンで初めて骨が折れていることがわかるものです。こように、骨がつぶれている形だけで骨折と診断される圧迫骨折を、形態骨折といいます。

先にお話ししたように、強い痛みがなくても、なんとなく背中や腰に痛みがあったり、背中や腰が曲がったり、背が低くなったりしている場合は、整形外科を受診してレントゲンを撮ってもらいましょう。

「中高年になり、20代の時と比べて4㎝以上身長が低くなっていたら、まず圧迫骨折があると思って間違いありません。2~4㎝の場合は、圧迫骨折がある可能性が高めです。2㎝未満の場合は、加齢による自然な変化と考えて良いでしょう。20代の頃と比べて、2㎝以上身長が低くなっていたら、整形外科医を受診して背骨のレントゲンを撮り、圧迫骨折がないか調べてもらいましょう」と、石橋先生。

また、腰が曲がってきた場合も、圧迫骨折がある可能性があります。ただし、若い頃から姿勢が悪い人に多いのですが、圧迫骨折がなくても背中や腰が曲がってくることがあります。いずれにしても、気になる症状がある場合は、整形外科医に相談してみましょう。

「圧迫骨折は、自覚できないほどのわずかなきっかけでも起こります。そして、1カ所圧迫骨折を起こすと、その後に新たな骨折を起こす確率は2~3倍、2カ所骨折すると7~10倍に増えることが分かっています。複数の圧迫骨折が起きると、背骨が強く曲がってしまったり、痛みを感じたり、動きにくくなるだけでなく、全身の病気のリスクも高まります。最初の圧迫骨折に気付かずに過ごすことはとても怖いことだと自覚して、自分の体の状態を見直し、不安に思うことがあれば、早めに受診しましょう」(石橋先生)。

圧迫骨折になると、骨が押しつぶされたり、連鎖して骨折が起こることで、背骨が変形してしまいます。すると、内臓が圧迫され、逆流性食道炎や心肺機能の低下などにつながることもあります。このような症状が起きても、背骨の変形を矯正するためには大がかりな手術が必要となりますので、深刻な事態を招く前に改善に努めることが大切です。

 

次の記事「背骨の圧迫骨折、主な治療は3タイプあります/圧迫骨折(3)」はこちら。

取材・文/笑(寳田真由美)

 

 

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石橋英明(いしばし・ひであき)先生

伊奈病院整形外科部長、NPO法人高齢者運動器疾患研究所代表理事。1988年東京大学医学部医学科卒業。三井記念病院、東京都老人医療センター(現・東京都健康長寿医療センター)整形外科などの勤務を経て、1992年より東京大学大学院医学系研究科にて骨代謝研究に従事。1996年に博士学位を取得し、米国ワシントン大学医学部に留学。帰国後、東京都老人医療センター整形外科に勤務、2001年より同センター整形外科医長。2004年より現職。専門は骨粗鬆症、関節リウマチ、関節外科。著書に『よくわかる最新医学 骨粗鬆症 予防・検査・治療のすべてがわかる本』(主婦の友社)、『骨粗鬆症の予防と治療のガイドライン(共著)』(ライフサイエンス出版)ほか。

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