腰を反らすと痛い! 50歳以上の人に多い「腰部脊柱管狭窄症」とは?/坐骨神経痛

坐骨神経痛とは、腰から足にかけて延びている坐骨神経が、さまざまな原因によって圧迫されたり、刺激されたりすることであらわれる、痛みやしびれなどの症状を指します。
坐骨神経痛の原因となる病気はいくつかあり、また、症状がよく似ていても坐骨神経痛ではない場合もあります。そこで、平和病院副院長で横浜脊椎脊髄病センター長の田村睦弘先生に症状の見極め方や治療方法、痛みを改善するセルフケアのやり方などを教えていただきました。

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腰を反らすと痛みが増すのは病気のサインかも!

坐骨神経痛の原因で多いものの一つが、腰部脊柱管狭窄症です。背骨の中を通る神経の通り道を脊柱管といいます。腰部脊柱管狭窄症は、この脊柱管を構成する骨や靭帯の肥厚(分厚くなる)、椎間板の突出などで脊柱管が圧迫されて狭くなるために起こります。

「腰部脊柱管狭窄症は、大半の場合、加齢が原因で起こります。年齢が上がると、椎骨に棘のような突起ができて脊髄を圧迫したり、靭帯が分厚くなったり、椎間板が薄くなったりすることで、脊柱管が変形して、脊柱管の内腔が狭くなるのです。加齢が原因ですから、誰にでも起こる可能性があります。50歳以上の人に多くみられますが、脊柱管が生まれつき狭い人の場合は、30~40歳代で脊柱管狭窄症の症状があらわれることもあります」(田村先生)

腰部脊柱管狭窄症の場合、腰を反らすと脊柱管に圧力がかかり、もともと狭い内腔がさらに狭くなって神経が強く圧迫されるため、痛みが強くなります。前かがみの姿勢は、脊柱にかかる圧が小さく、痛みやしびれが軽減します。

「腰部脊柱管狭窄症の人は、前かがみで歩くことが多くなりますが、姿勢が悪く見えるからと、痛みやしびれを我慢して無理に背筋を伸ばす必要はありません。ラクな姿勢で歩き、腰痛に負担をかけないようにしましょう」(田村先生)

腰部脊柱管狭窄症が進行すると、間欠跛行(かんけつはこう)の症状があらわれます。間欠跛行とは、少し歩くと下肢の痛みやしびれが強くなって歩けなくなり、前かがみで少し休むと、症状が軽減してまた歩けるようになるといった状態が繰り返されることをいいます。立ち続けているときにも同様の症状があらわれることがあります。

「間欠跛行がみられる場合、病状がかなり進んでいると考えられます。間欠跛行は、腰部脊柱管狭窄症に特徴的な症状ではありますが、下肢の動脈硬化や他の脊椎脊髄の病気でもみられることがあります。放置すると危険なので、思い当たる症状がある人は、すぐに整形外科や脊椎の外来で相談してください」(田村先生)

 

●腰部脊柱管狭窄症はこんな症状です

<初期>
・腰を反らすと痛みが強くなる
・長時間立っているのがつらい
・前かがみになると、痛みがやわらぐ

<進行すると>
・間欠跛行(歩いていると、腰から下肢にかけて痛みやしびれが強くなり歩けなくなるが、休むと症状がやわらぎ、再び歩けるようになる)
・スリッパが脱げやすくなる
・階段でつまずきやすい
・下肢に力が入らない

 
神経が圧迫される部位によって症状は少しずつ異なります!

腰部脊柱管狭窄症の症状は、主にお尻から下肢にかけての痛みやしびれ、間欠跛行ですが、神経の圧迫される部分がどこかによって、3つのタイプに分かれます。

●馬尾(ばび)型
神経の束である馬尾が圧迫されることで起こります。痛みやしびれ、間欠跛行に加え、お尻や下肢の冷え、感覚がにぶくなる感覚マヒ、下肢に力が入らなくなる脱力感などがあります。痛みやしびれの範囲が広く、左右両方の脚に症状があらわれることが多いです。

●神経根(しんけいこん)型
神経根が圧迫されるために起こり、坐骨神経に沿って痛みやしびれがあらわれます。症状は、左右の脚のどちらかにあらわれることがほとんどです。

●混合型
馬尾型と神経根型が合併した場合は、両方の症状があらわれます。

馬尾型と混合型は、症状が重くなる傾向があり、手術が必要になることも少なくありません。病院を受診する場合は、どんな症状があるか、しっかりと伝えるようにしましょう。

 

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取材・文/笑(寳田真由美)

 

<教えてくれた人>

田村睦弘(たむら・むつひろ)先生

平和病院副院長・横浜脊椎脊脊髄病センター長、高月整形外科病院・脊椎センター長兼任。日本整形外科学会認定整形外科専門医。日本脊椎脊髄病学会脊椎脊髄外科指導医。『完全図解 坐骨神経痛のすべて 自分で治すプログラムつき』(主婦の友社)、『女性のつらい「坐骨神経痛」はこうして改善する!』(PHP研究所)など著書多数。

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