ところが、そこまで過剰に注意していたのに、ある朝腰痛を訴えました。
様子を見ていたところ、次の日は前日にもまして、少しの所作にも強い痛みを訴えるようになりました。
聞けば、夜中に窓を開けて、通りかかる人に救助を求めようとしたというのです。
その日はたまたま訪問看護の日でした。
看護師さんは骨折を疑い、主治医に往診してもらったところ、腰椎圧迫骨折だろうということですぐに救急車で入院することになりました。
どうやら夜の間に転倒したようです。
あれほど注意していたのにとしばらくの間、私はすっかり落胆してしまいました。
ちょうど施設への入所が思いがけず決まり、あと数日で入所するという時でした。
これは不可抗力としかいえません。
事故が起きないように思いつく限りの工夫をしても、完全に事故を回避することはできないわけですから、過度に自分を責めないようにすることが、介護に向かうための勇気を失わないために必要です。
【次回】「あんなふうにはなりたくない・・・」在宅介護とデイサービス/先に亡くなる親とアドラー心理学
【まとめ読み】『先に亡くなる親といい関係を築くためのアドラー心理学 』記事リスト
アドラーが親の介護をしたら、どうするだろうか? 介護全般に通じるさまざまな問題を取り上げ、全6章にわたって考察しています