「要介護認定」ってどんな調査なの? 質問内容や準備しておくべきことを確認しよう

ご両親が元気なうちは、「介護なんて当分先のこと」と他人ごとのようにお考えの方も多いでしょう。しかし介護は突然やってきます。想定もしなかった事態に戸惑い、余計な負担まで背負い込んだ結果、心身の健康を害してしまうこともあるのです。突然の事態に動揺しないためにも、いまから準備をしておくことが大切です。

そこでうまく乗り切るための心構え、準備しておくべきこと、介護サービスを受ける方法、介護サービスの仕組み・精神面・金銭面のアドバイス、予防などについて、淑徳大学総合福祉学部教授の結城康博先生に教えていただきました。

pixta_21661508_S.jpg前の記事「「要支援」「要介護」はどう違う? 受けられるサービス、支給限度額について解説(5)」はこちら。

 

要介護認定とはどのような調査なのかを、事前に把握しておきましょう

介護認定の結果により、今後受けられるサービスが異なってきますので、とても重要です。そのためにも、どのように行われるのかをしっかり把握してください。

まず、調査では、自宅に認定調査員が訪問し、本人や家族から心身の状態や日常の生活の様子を聞き取ります。項目は大きく6つに分かれ、74項目ほど質問されます。体の動きや食事、排せつ、精神状態など多岐にわたり、分類ごとに細かな質問があります。調査員の指示で、実際に体を動かす項目もありますし、日常の生活具合を聞き取る項目もあります。

以下について気を付けましょう。

 
調査項目は大きく6つに分かれ、質問は74項目

調査項目は大きく6つに分かれます。
1. 身体機能(起居・歩行・視力・聴力)
2. 生活機能(食事摂取・排せつ・入浴・更衣など)
3. 認知機能(認知症・徘徊など)
4. 精神・行動障害(認知症の周辺症状)
5. 社会生活(金銭管理や買い物、人とのおつきあいなど)
6. 医療行為(点滴・経管栄養など)

例えば、以下のような質問があります。
1.下肢の筋力の状態をみるために「いすに座って、片足を床に水平に上げてください」と
いう指示。
2.ボールペンや携帯電話、タオルなどを見せて、記憶してもらい、数分後に思い出せるかどうかで、短期記憶能力を確認。
3. 「お手洗いには1人で行けるのか?」「用を足すときには自分で衣服の脱着ができるのか?」「1人で立ち上がりができるか?」といった、排せつが1人で可能かどうか、誰かの手助けが必要なのかを確認します。

何を質問されるか分からないまま回答すると、うまく伝えられないこともあります。そのようなことを回避するためにも、どんなことを質問されるのかを事前に調べて、確認しておきましょう。

 
家族は同席の上で、普段の介護内容、病気・ケガ歴についてメモしておきましょう

誰がどのような介護を行っているか、日時など、日頃からできる限り細かくメモしておきましょう。要介護者が認知症で行動に問題がある場合は、その行動をきちんと記録して、調査の当日に調査員に手渡せば、当日の様子だけでは分からないことも伝えることができます。

また認定調査には、できるだけ家族の方の同席をおすすめします。

というのも、調査員と本人だけでは、コミュニケーションがうまくとれない場合もあり、「はい」「いいえ」だけの返答で、本来ならば要介護1なのに、要支援2になってしまう可能性もあるからです。

さらに、要介護認定の判断基準の一つとなるのが主治医の意見書です。そこには要介護者の病歴などがすべて書かれているわけではありません。今後の介護を見据えて、気になる病歴などがあったら、仔細をメモしておき、調査当日に調査員に手渡しましょう。

 

現在、困っていること、いいづらいことはメモしておきましょう

今後介護をしていく上で、現在どのようなことで困っているのかを伝えることが大切です。要介護者が困っていること、介護者が困っていることなど、細かくメモをしておき調査当日に調査員に手渡すといいでしょう。さらに、要介護者といえども、羞恥心があり、自分の現状を他人に知られることに抵抗を感じている場合もあります。調査員に家族が話すことを拒否したり、調査当日に家族とは違うことを話して調査ができないこともあるのです。そのようなことを避けるためにも、メモに書いておきましょう。

 

次の記事「介護を始める前に必要な心構えとは? お金はいくら必要? 専門家に聞いてみた(7)」はこちら。

 

 

結城康博(ゆうき・やすひろ)先生

1969年生まれ。淑徳大学総合福祉学部教授(社会保障論、社会福祉学)、経済学修士、政治学博士。社会福祉士、ケアマネジャー、介護福祉士の有資格者。地方自治体に勤務、介護職、ケアマネジャー、地域包括支援センター職員として介護部署などの業務に従事。テレビ、新聞、雑誌など多岐にわたり活動中。新刊『突然はじまる! 親の介護でパニックになる前に読む本』(講談社)など著書多数。

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