「要支援」「要介護」はどう違う? 受けられるサービス、支給限度額について解説

ご両親が元気なうちは、「介護なんて当分先のこと」と他人ごとのようにお考えの方も多いでしょう。しかし介護は突然やってきます。想定もしなかった事態に戸惑い、余計な負担まで背負い込んだ結果、心身の健康を害してしまうこともあるのです。突然の事態に動揺しないためにも、いまから準備をしておくことが大切です。

そこでうまく乗り切るための心構え、準備しておくべきこと、介護サービスを受ける方法、介護サービスの仕組み・精神面・金銭面のアドバイス、予防などについて、淑徳大学総合福祉学部教授の結城康博先生に教えていただきました。

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「要支援」と「要介護」はどう違うのでしょうか?

介護保険のサービスを受けるには、要介護認定を受けなければなりません。この要介護認定は、大きく「要支援」「要介護」の二つに分かれます。二つは似たようにみえますが、どう異なるのでしょうか?

「要支援」とは、現在、介護は必要ではないものの日常生活に支障があり、将来的に要介護にならないための介護予防の支援が必要な状態をいいます。2段階で判定、認定し、地域包括支援センターで保健師などが「介護予防ケアプラン」を作成します。介護予防のための公的介護保険サービスを、原則1割(世帯所得によっては2割)負担で受けることができます。

「要介護」とは、すぐにでも介護が必要な方々で、どのくらいの介護が必要なのかを5段階で判定、認定します。要介護認定を受けると、介護老人保険施設や居宅介護支援事業所に属しているケアマネジャーが「介護サービスケアプラン」を作成します。それをもとに介護老人保険施設もしくは自宅で、公的介護保険サービスを原則1割(世帯所得によっては2~3割)負担で受けることができます。

それぞれ段階により、受けられるサービスや支給限度額が異なるので、詳しくご説明していきます。

 
要支援の1・2では月の支給限度額が2倍の差

要支援1は、日常生活や、食事、着替え、移動、排せつ、入浴などの身の回りの基本動作のほとんどを自分で行えますが、複雑な動作(家事、交通機関の利用、金銭管理など)に一部介助の必要がある状態。介護は必要ないものの、何らかの支援を要します。受けられるサービスは介護予防サービス (居宅・通所)、月の支給限度額5万0,030円。


要支援2は、立ち上がりや歩行が不安定なことがあり、日常生活の一部に介助が必要な状態をいいます。何らかの支援が必要ですが、要支援1と比べると、日常の複雑な動作を行う能力がわずかに低下しています。受けられるサービスは介護予防サービス(居宅・通所)、月の支給限度額10万4,730円。

 
要介護1~5は、立ち上がり、歩行、理解能力で異なります

要介護1は、立ち上がりや歩行が不安定で、要支援状態と比べると、日常生活や身の回りの動作の一部が低下していて、部分的に介助を必要とします。要支援状態と比べて、さらに日常の複雑な動作を行う能力が低下しており、問題行動や理解能力の低下もみられることがあります。受けられるサービスは介護サービス全般 (居宅・通所・施設入所)、月の支給限度額16万6,920円。

要介護2は、立ち上がりや歩行などに手助けが必要で、排せつや入浴などの日常生活や身の回りの動作全般に部分的に介助を必要とする状態。問題行動や理解能力の低下がみられる場合もあります。受けられるサービスは介護サービス全般(居宅・通所・施設入所)、月の支給限度額19万6,160円。

要介護3は、立ち上がりや歩行が自力ではできず、日常生活や身の回りの動作全般に全面的な介助が必要。認知症による問題行動がみられることがあります。特別養護老人ホームなどへの入所はこの段階からです。受けられるサービスは介護サービス全般 (居宅・通所・施設入所)、月の支給限度額26万9,310円。

要介護4は、立ち上がりや歩行、両足で立っていることができず、介護なしでは日常生活を営むことが困難な状態。全般的な理解能力が低下し、認知症による問題行動が多くみられます。受けられるサービスは介護サービス全般 (居宅・通所・施設入所)、月の支給限度額30万8,060円。

要介護5は、ほぼ寝たきりで、日常生活全般において全面的もしくは最重度の介護が必要。全般的な理解能力の低下がみられ、意思の疎通が困難な状態です。受けられるサービス介護サービス全般 (居宅・通所・施設入所)、月の支給限度額36万0,650円。

(補足)
※状態例はあくまでも目安であり、総合的な判断により認定されます
※支給限度額の単位は10円が原則ですが、地域やサービスの種類によって10~11.26円の範囲(2014年改正)
※日常生活の基本動作:排せつ、食事、入浴、衣服の着脱などをさす
身の回りの動作:身だしなみ、掃除などをさす
※要支援2、要介護1での区切りは、問題行動や理解能力の低下になります

 

次の記事「要介護認定ってどんな調査なの? 質問内容や準備しておくべきことを確認しよう(6)」はこちら。

 

結城康博(ゆうき・やすひろ)先生

1969年生まれ。淑徳大学総合福祉学部教授(社会保障論、社会福祉学)、経済学修士、政治学博士。社会福祉士、ケアマネジャー、介護福祉士の有資格者。地方自治体に勤務、介護職、ケアマネジャー、地域包括支援センター職員として介護部署などの業務に従事。テレビ、新聞、雑誌など多岐にわたり活動中。新刊『突然はじまる! 親の介護でパニックになる前に読む本』(講談社)など著書多数。

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