介護保険サービス、実際何にいくらかかるの?/介護破産(31)

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介護のために資産を失う「介護破産」が最近話題となっています。実は介護破産の原因には、単に資産の多寡だけでなく、介護に関する「情報量」も大きく関わってくるのです。
本書「介護破産」で、介護で将来破綻するような悲劇を防ぐための方法を学んでいきましょう。

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前の記事「83歳、要介護2、一人暮らしでも自宅で暮らすことはできる/介護破産(30)」はこちら。

介護保険サービスの料金

ここからは介護保険サービスにかかる費用を一つずつみていこう。在宅での介護生活がはじまると、多くの人は介護保険サービスを利用するようになるはずだから

 

ヘルパー(訪問介護)
数あるサービスのなかで身近なものといえば、ヘルパーサービスである。自宅に来訪したヘルパーが、掃除や洗濯、買い物から、オムツ交換や入浴介助までを行なうというものだ。

ヘルパーサービスは大きく二つに分けられる。掃除、洗濯、買い物といったように、高齢者の身体には直接ふれず、身の回りの世話をする「生活援助(家事援助)」と、オムツ交換や入浴介助のように、直接身体にふれる「身体介護」だ。

現在の介護保険の値段表では、「生活援助」の場合、1回の訪問につき60分で約2000円、「身体介護」では60分で約4000円となっている。ただし、介護保険の適用で、利用者の負担金額は1割となるため、「生活援助」は200円弱、「身体介護」は400円程度が、実際に支払う金額となる。なお、年収約280万円の所得を有する者は2割負担となる。

 

デイサービス(通所介護)
自宅で閉じこもりがちな高齢者に外出を促すため、入浴、レクリエーション、食事などをして過ごせる日帰りの介護施設(通所介護)サービスがある。通常、デイサービス(通所介護)と呼ばれるもので、バスなどの送迎がついている。

このサービスの値段は、利用時間と要介護度によって異なり、基本的には、利用時間と要介護度に比例して値段も高くなる。たとえば、要介護1(1割負担の場合)であれば1回6時間程度の利用につき約7000円(自己負担額700円)となるが、要介護5になると約1万1000円(自己負担額1100円)となる。金額の差は要介護度が重くなるとそれだけ施設側の手間がかかるためだ。

施設では、リハビリやレクリエーションなどによって、高齢者を元気にしていくプログラムが組まれるが、その結果、要介護度が軽くなるに従って介護報酬も低下し、施設の収入が減ってしまうというジレンマがある。

なお、デイサービス(通所介護)と混同されがちだが、実態は異なるサービスにデイケア(通所リハビリテーションサービス)がある。

デイサービスは施設でのレクリエーションがメインであるのに対し、デイケアは、理学療法士等が中心となるリハビリが目的だ。そのため、デイケアでは医師との連携も重要視され、デイサービスよりも多少、値段設定が高めとなっている。

いずれのサービスも食事代とおやつ代などは自費になるため、毎回600~800円の費用が別途かかる。そのため、デイサービス1回あたりの利用金額は、1300~1900円程度を見込んでおくべきだろう。

 

ショートステイ(短期入所生活介護)
在宅介護はどうしても家族の心身に疲れを生じさせる。「介護」は「看病」と違って、先がみえず、いつまでその状況が続くかわからないからだ。そのため1週間程度、高齢者が施設に入所して、家族の負担を軽減し、リフレッシュする意味で大きな役割を果たすのがショートステイだ。

ショートステイの値段は日割り計算となっている。施設規模などにもよるが、食事代や部屋代、介護保険の自己負担分1割を合わせると、個室1泊で6000~8000円程度の費用がかかる。要介護度に応じて値段が変動するのは、ほかのサービスと同じである。

なお、利用日数の計算にはちょっとした注意が必要だ。というのも、たとえば3泊4日のショートステイを利用した場合、4日目の朝食をとってすぐに帰宅しても、4日目分の部屋代はしっかりと徴収される。旅館のように、実際に宿泊した日数で費用が変わると勘違いしがちだから、気をつけておきたい。

ショートステイは大都市部では1~2週間前から予約しないと利用できない場合もあるが、地方では3日前からでも十分予約可能である。

  

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結城 康博(ゆうき・やすひろ)
淑徳大学総合福祉学部教授。1969年生まれ。社会福祉士、介護福祉士、ケアマネジャー。地域包括支援センターおよび民間居宅介護支援事業所への勤務経験がある。おもな著書に『在宅介護――「自分で選ぶ」視点から 』(岩波新書)、『孤独死のリアル』(講談社現代新書)、『介護入門 親の老後にいくらかかるか? 』(ちくま新書)など。

村田くみ(むらた・くみ)
ジャーナリスト。1969年生まれ。会社員を経て1995年毎日新聞社入社。「サンデー毎日」編集部所属。2011年よりフリーに。2016年1月一般社団法人介護離職防止対策促進機構(KABS)のアドバイザーに就任。おもな著書に『書き込み式! 親の入院・介護・亡くなった時に備えておく情報ノート』(翔泳社)、『おひとりさま介護』(河出書房新社)など。

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『介護破産』
(結城 康博、村田 くみ/ KADOKAWA)

長寿は「悪夢」なのか!? 介護によって始まる老後貧困の衝撃!
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