介護サービスを受けるために40歳から加入する介護保険制度。2000年の開始から3年に1度見直されていますが、2018年4月より新制度が始まりました。65歳以上の介護保険料は上昇し、40~64歳の保険料も総報酬割の採用により負担が増える場合があります。さらに8月からは、所得により介護サービス利用時の自己負担額が2割から3割に増加する人も。
新制度は加入者・利用者にどのような影響があるのか、淑徳大学総合福祉学部教授の結城康博先生に教えていただきました。
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支えられ上手になる「介活」6カ条とは?
介護が必要になったときにスムーズにサービスを受けるため、いまから実践したいのが結城先生の提唱する「介活(介護活動)6カ条」です。
介活6カ条とは...
1.「支えられ上手」になろう
サービスを受けるのは当たり前と考えるのは禁物。介護士らと「おはよう」「ありがとう」などのコミュニケーションをとり、気持ち良く介護サービスを利用しましょう。
2.「口コミ」を大切にしよう
介護サービスの良しあしは、利用者がいちばんよく知っています。そのため、普段からサービスを実際に受けている人が身近にいれば、その声を聞いて情報を集めておきましょう。
3.「介護」を語ろう
介護問題は元気なうちから周囲と話し合うことが重要です。普段から「介護保険の手続き、認知症について勉強しよう」と家族や友人で話し合い、「介護」に関する知識を身に付けましょう。
4.「かかりつけ医」をもとう
介護が必要になった際、介護認定の申請には主治医の意見書が必要なため「かかりつけ医」がいる方が手続きはスムーズ。健康について日頃から相談できる医師を見つけておきましょう。
5.「相談できる人」をもとう
介護が必要になったときに相談できる人をもつ他、窓口を知っておくと便利。元気なうちから「介護予防教室」に通い、地域包括支援センターのスタッフと関係を築くのも一つの方法です。
6.元気なうちは「仕事・ボランティア」をしよう
できるだけ仕事やボランティアを続けましょう。外出は介護予防にもなりますし、介護ボランティアなら介護に関する情報も得られます。
この6つのうちで特に大切なのが一つ目の「支えられ上手」になること。
「スタッフに"あの方なら介護したい"と思わせるような人になることが大切です。普段の生活と同じであいさつや感謝の言葉をかける気持ちを忘れずにいましょう」と結城先生。
また結城先生は介護保険制度の将来を次のように想定します。
「現在の介護保険制度が20~30年後も同じように継続していると思わない方がいいですね。将来的には、保険外のサービスも利用しないと、十分な介護サービスは受けられなくなる可能性があります。安心してサービスを受けるために、ご家族やご自身の介護費用をいまから貯蓄しておくことをおすすめします」
介護が必要になっても健やかに暮らすための準備として、「介活」を心がけましょう。
取材・文/中沢文子