行政サービスはどんどん活用すべし! シニアへの行政サービスが、行政側にメリットがある理由

地域によっては紙おむつの無料支給も

前項でお話ししたように、行政サービスの内容は自治体によって異なります。詳しく知るには役所のホームページなどを見て確認するしかありませんが、ここでは比較的一般的と思われるものをいくつか紹介していきましょう。

・ゴミ出し支援

シニアのなかには「ゴミを捨てたいけれど、体力的に難しい」「うまく分別できない」などという人もいます。とくに地方では、ゴミの集積所が自宅から離れていることも多く、運んでいけない人も少なからずいるはずです。そんなときに利用したいのが「ゴミ出し支援」です。

たとえば、千葉県千葉市では、要介護認定1~5の方、身体障害者手帳1、2級の方、精神障害者保健福祉手帳1級の方、療育手帳○AまたはAの方、そのほか市長が必要と認める方のみで構成される世帯のゴミを、ゴミステーションまで持っていく支援を行っています。

・訪問理美容サービス

専門の理容師、美容師が出張してくれるサービスです。

横浜市を例にとると、おおむね65歳以上の要介護4または5に認定されている外出困難な方、または要支援、要介護1~3の方で心身状況・外出手段・居住環境等の状況を総合的に判断し、福祉保健センター長がとくに必要と認めた方が利用できるようになっています。

ちなみに横浜市の利用料は1回2000円(調髪またはカットのみ)ですが、各市町村によって利用できる条件や利用料金は異なります。

・食事サービス

その名のとおり、食事を配達してくれるサービスです。

大阪市の場合、単身またはシニアのみの世帯で暮らす65歳以上のシニアで、要支援1、2または要介護1~5に該当し、食事の調理が困難であること、または栄養改善の必要性が認められ、配食による安否確認が必要と判断された方が利用できます。さらに、会食の世話をしてくれる「ふれあい型食事サービス」も実施しています。もちろん利用料金はかかりますが、ひとり暮らしではどうしても栄養バランスが崩れがちなので、健康維持のためにはぜひ利用したいサービスではないでしょうか。

・紙おむつの給付制度

要介護高齢者の場合、紙おむつや介護食などの介護用品の支出が必要になります。そのため、大阪府堺市では、寝たきりや認知症シニアで、常時紙おむつの使用が必要な方に対し、紙おむつと交換可能な給付券(1カ月につき1枚、1枚当たり6500円上限)を交付しています。

こちらも、要介護者にとってはとてもありがたい行政サービスでしょう。

 

保坂 隆
1952年山梨県生まれ。保坂サイコオンコロジー・クリニック院長。慶應義塾大学医学部卒業後、同大学精神神経科入局。1990年より2年間、米国カリフォルニア大学へ留学。東海大学医学部教授(精神医学)、聖路加国際病院リエゾンセンター長・精神腫瘍科部長、聖路加国際大学臨床教授を経て、現職。また実際に仏門に入るなど仏教に造詣が深い。著書に『精神科医が教える 心が軽くなる「老後の整理術」』『精神科医が教える お金をかけない「老後の楽しみ方」』(以上、PHP研究所)、『人間、60歳からが一番おもしろい !』『ちょこっとズボラな老後のすすめ』『繊細な人の仕事・人間関係がうまくいく方法』(以上、三笠書房)など

※本記事は保坂 隆著の書籍『楽しく賢くムダ知らず 「ひとり老後」のお金の知恵袋』(明日香出版社)から一部抜粋・編集しました。

この記事に関連する「ライフプラン」のキーワード

PAGE TOP