「コスパ抜群!定年後『トカイナカ居住』のススメ」森永卓郎・康平親子のやさしい経済学

テレビなどでおなじみの経済アナリスト・森永卓郎さん。長男の康平さんも同じく経済アナリストとして活躍中です。
そのおふたりが初の共著『親子ゼニ問答』(角川新書)を刊行。60代と30代の経済アナリスト親子が、豊富な経験と、的確なデータ分析、そしてそれぞれの世代の視点を生かして、令和時代の経済状況を解説されています。

そこで、今回は森永卓郎さんに、定年後の移住について教えていただきました。

定年後は都会と田舎の中間"トカイナカ"

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老後は、収入を増やすことを考えるのではなく、支出を減らすことを優先すべきなのだと、私は考えている。

家計で最も大きな支出は、住居費だ。

住居費は、都心から離れれば離れるほど安くなる。

いま、住居のトレンドは、都心近くかつ駅近だ。現役バリバリのときは、職住接近が必要かもしれないが、定年を迎えたらその必要はなくなるのだ。

もちろん、田舎に住めば、タダ同然で家は手に入る。

しかし、田舎は、人間関係が濃過ぎるので、ついていけない人が多い。

また、過疎地は、物価が高くなるので、生活は厳しい。例えば、水道料金は、自治体によって7倍もの格差があるが、料金の高い自治体には、北海道や東北の市町村が多く並んでいる。

一方で、郊外の市町村は、総じて水道料金が安い。

ある程度の人口密度がないと、水道料金を安くできないのだ。そうした傾向は、物価全体でも言える。家賃や人件費が安く、価格競争が激しい郊外は、物価が低めになるのだ。

だから、私は、老後は都会と田舎の中間、トカイナカに住むのが、いちばん良いと考える。

東京中心に考えたら、圏央道周辺の都市だ。

具体的な地名だと、海老名、八王子、入間、久喜、つくば、茂原(もばら)といった地域だ。

家賃や物価が安く、人間関係も適度の距離感で、しかも都会に行きたければさほど時間もコストもかけずに出かけることができるのだ。

実は、私は、2018年から群馬県昭和村で農業の「修業」を始めている。

私は、農業のことを何も知らなかった。

マルチをどう張るのか、トマトやナスの芽欠きをどうするのか、種をどの深さまで、どの向きで埋めたらよいのか。

そういったことをプロの農家から一つ一つ教わっている。

あと数年かけて技術を習得したら、自力で野菜作りを始めようと思う。

素人が農地を買うのは、いろいろと規制があって大変だが、トカイナカには貸農園がいくらでもある。

料金も年間数千円という安い金額のものがあるから、コスト的にも問題がない。

昭和村の畑には、孫たちも一度連れていったのだが、まだ小さくて、農業がよく分からなかったようだ。

ただ、これからも機会があれば連れていこうと思う。自分の食べるものは、自分で作る。それも広い意味での金融教育だ。

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<教えてくれた人>

森永卓郎(もりなが・たくろう)さん

1957年生まれ。経済アナリスト、獨協大学経済学部教授。東京大学経済学部卒業。日本専売公社、経済企画庁などを経て現職。50年間集めてきたコレクションを展示するB宝館が話題。

森永康平(もりなが・こうへい)さん

1985年生まれ。株式会社マネネ最高経営責任者、経済アナリスト。証券会社や運用会社を経て、現在は複数のベンチャー企業の最高財務責任者や監査役も兼任。日本証券アナリスト協会検定会員。

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『親子ゼニ問答』

(著/森永拓郎・森永康平 KADOKAWA)

「老後資産2000万円不足」「消費税増税」が話題となるなか、W経済アナリストの森永親子が生きるためのお金の知恵を伝授。新しい金融教育の教科書です。

この記事は『毎日が発見』2019年11月号に掲載の情報です。

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