<この体験記を書いた人>
ペンネーム:まさかず
性別:男
年齢:43
プロフィール:会社での上司の話題についてゆくため、経済系新聞を20年間定期購読しているサラリーマン。
私(43歳)と妻(42歳)は結婚して17年になりました。
子どもにも恵まれて幸せな日々を送っておりますが、なかなかコロナが終息しない中、世間と同じく我慢がつきまとう日々を過ごしています。
オリンピックも間近に控えた2021年7月の上旬、4回目の緊急事態宣言の発令がニュースになっていました。
「こんなに短期間に4回目を出すなら、3回目を解除しなければよかったのにね」
軽い気持ちで妻に話題を振ったのですが、まさか、この後あんなことになってしまうとは...。
私の実家では、居間のテレビで流れているニュースの内容を話題にすることが多く、その会話で相手の考え方を知り、自分の頭の中を整理する機会になっていました。
結婚した後も、そんな風に妻に話題を振っていました。
しかし、結婚当初の妻はあまりそのやりとりが得意ではなく、意見が対立すると、泣き出してしまうこともありました。
そんな妻も、子育てをしていく中で、幼稚園や学校のママ友との人間関係で、いろいろな人と触れ合っていきました。
4人の子どもに恵まれた妻は、子育ての中でたくさんの人に揉まれ鍛えられてきたのでしょう。
私の緊急事態宣言を解除するか否かの「ふり」に対し鋭い「返し」がきました。
「じゃあ、あなたが総理大臣だったらどうしたの?」
「うーん。3回目を解除しなかったかな」
「でも、3回目が解除されたとき、喜んで飲み会に行ってたじゃない。それは行けなくてよかったの?」
妻が言う「飲み会」は、会社で行った新入社員歓迎会のこと。
入社したばかりの頃は歓迎会もできず、3回目が解除されたときに、ようやく歓迎会が開けると喜んでいました。
そんなに強く言わなくてもいいだろうと思っていたら、妻は緊急事態宣言の是非に論点を変えてたたみかけてきました。
「何で緊急事態宣言が嫌なの?」
「だって、街にはたくさんの人がいるよ。言うことを聞く人が少なくなってきているし、宣言しても効果はないよ」
毎日出勤をしている私に対し、妻の行動範囲は自宅周辺です。
触れ合う人も私の方が多いし、世の中のことは私の方が詳しいと思っていました。
「でも、少しでも宣言を聞いて控えてくれる人がいると思って宣言しているのでしょ。あなただって一緒じゃない」
「え?」
「あなたの仕事だって、お金を払ってくれない人もいるけど、少しでも多くの人に払ってもらえるようにやっているのでしょ?」
私の仕事は、支払いが遅れた顧客に連絡をとり支払いを促す、いわゆる債権回収です。
支払いをしてくれる方もいますが、一定数は無視する方、払えない方がいるのも事実。
いかに「回収率」を上げるかが仕事です。
「そ、そうだね」
「緊急事態宣言だって同じことでしょ? 私、こういう話題は嫌いだからもうやめて」
「ご、ごめんなさい」
見事に論破されてしまいました。
「最近、『言い返す方法』という本を読んだの。言われてばかりだと悔しいから。でも、あなたを言い負かすためじゃないのよ。ママ友同士でいろいろあるから」
先のやりとりも、その本から学んだようです。
相手がやっていたこと言っていたことに繋げて質問することが、討論を優位に進めるコツとのこと。
「テレビの評論家は勝手なことを言っているが、もし自分が決める立場になったらどうするつもりなんだ」
妻が「あなたが総理ならどうするの?」と聞いてきたのは、以前に私が、オリンピックが開催か中止かと話題になったときに私がそう言ったことを引用したようです。
仕事の話とつなげてきたのも同じ手法でした。
18年前の交際中、仕事で心が疲れ電車で痴漢にあっても声を出せなかったと聞き「守ってあげよう」と結婚を決意した妻。
それがいつの間にか、守っていたつもりが守られている立場に逆転しているのかもしれません。
たくましくなった妻に頼もしさと、末恐ろしさを感じた夫婦喧嘩でした。
それ以後、我が家ではニュースの話題はせず、子どもたちの「きょうの出来事」が話題の中心となっています。
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