<この体験記を書いた人>
ペンネーム:トリコ
性別:女
年齢:47
プロフィール:自営業の夫(50歳)と大学生の息子の3人暮らし。2020年夏に夫の不倫が発覚。離婚しようか模索中の兼業主婦です。
あれは忘れもしない2018年秋のできごとです。
夕食の支度をしていた私(45歳)のもとに、夫(48歳)から「2泊3日で一人旅に出る」というLINEメッセージが届きました。
なんでも、博多にいる学生時代の同級生に会いに行くとのこと。
突然の旅行、それも一人旅とは解せません。
なぜなら、その年の夏に夫の財布からラブホテルの割引券を見つけ、私と同い年の既婚女性と不倫していたことが分かったからです。
それ以降、私は不倫については一切触れませんでした。
問い詰めたところで、相手とすんなり別れるとも限りません。
もちろん怒りや悔しさはありましたが、夫の様子を見る限り家庭を壊す気はなさそうでした。
放っておけば、そのうち飽きて別れるだろうと高を括っていたのです。
ただ、不倫旅行が本当ならば、遊びが過ぎると腹が立ちました。
そこで、博多にいるという同級生の年賀状を探し出し、そこに載っていた携帯番号に連絡をとってみました。
するとどうでしょう。夫とは最近会っておらず、会う約束もしていないという決定的な答えが返ってきたではありませんか。
私にバレているとは夢にも思っていない夫は、のんきに博多みやげの明太子をぶら下げて帰宅しました。
明太子と夫、どう料理してやろうか。
夕食の席で、白米にのせた明太子をおいしそうに食べる夫に、顔が引きつるのをこらえながら尋ねました。
「同級生は元気だった?」
「ちょっと髪が薄くなってたけど元気だったよ」
白々しい答えがより一層怒りを煽りました。
「あら、おかしいわね。同級生に電話をしたら、あなたとはここ10年、会ってないって」
軽くジャブを入れたのち、すかさず留めの一発を刺しました。
「本当は〇〇さんと一緒だったんでしょ?」
不倫相手の名前を聞いて、さすがにまずいと思ったのでしょう。
箸を持つ夫の手が止まり、顔からは血の気がひいていきました。
そこからは夜中までかかって「取り調べ」を行いました。
これまで夫を泳がせて掴んだ不貞行為の証拠と相手女性の個人情報をひとつずつ提示し、外堀を固めていったのです。
最初のうちこそ逆切れをしたり、黙秘権を行使したりしていた夫も、私が不倫相手の携帯番号まで知っていると分かると、ついに観念したようでおずおずと「自白」をはじめました。
供述によれば、不倫相手とは趣味を通じて知り合い、3年も前から体の関係があったそうです。
一人旅の真相は、家族と一緒に九州へ出かける不倫相手を追いかけ、現地のホテルでこっそり会うためでした。
不倫相手の家族旅行にのこのこついていく夫にも呆れましたが、家族旅行の最中にホテルで不貞行為をはたらく女性の神経も疑いました。
夫の不倫を知ってから3カ月。
素知らぬ振りを続けていた私の怒りがついに爆発しました。
「浮かれてこんなもの買ってくるんじゃないわよ!」
みやげの明太子が入った桐箱を夫めがけて思い切り投げつけてやりました。
明太子の辛子が目に入ったのか、私の怒りに恐れをなしたのか、夫は涙を流していました。
そして、床に正座をしたかと思いきや、そのまま頭を垂れ、土下座をして謝ったのです。
土下座以外、謝る方法が思いつかなかったのでしょう。
その後、夫とは1週間口をききませんでした。
結局、不倫相手と別れたのはここから2年以上経ってからです。
水面下で関係を続ける夫に制裁を与えたいと思いつつ、なかなか機会がありませんでした。
騒動からちょうど1週間後、義母が脳梗塞で倒れ、それどころではなくなったからです。
夫婦喧嘩はひとまず休止となり、不倫は不問に付されました。
ふたたびゴングが鳴るのは、義母が他界した2020年の夏です。
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