<この体験記を書いた人>
ペンネーム:わんわん
性別:女
年齢:50
プロフィール:50歳、会社勤めの主婦。55歳の会社員の夫、20歳の大学生の息子と3人で首都圏在住。
私の実家は関西にある築50年のマンションの10階です。
今でも実母(83歳)が居心地よさそうに住んでいます。
でも長年にわたる問題が一つ、それは隣家のベランダです。
お隣さんは新築当時からご婦人が1人暮らしをしていましたが、年齢が高くなるにつれ、長期入院でお留守になることが増えました。
1993年頃にはご婦人は老人ホームに入居し、空き家になった隣家の管理は、遠方に住むご親戚が担うと説明がありました。
マンションのすぐ隣には大きなお寺もあり、同じくらいの高さのマンションがいくつか並んでいます。
このような立地条件から高層階のベランダには鳩が頻繁にやってきて、糞害などにどの家も苦慮していました。
鳩も賢く、空き家になった家をいち早く見つけ集合してくるのです。
ご婦人が長期入院していた期間は、隣家のベランダは鳩たちのたまり場になり、鳩の糞だらけ。
その上、巣を作って卵を産んだのに親鳥が放置することもありました。
その卵が腐って臭気を放ち、ご婦人が退院なさるまで、我が家はベランダに洗濯物すら干せなくなったこともあったこともありました。
そういう経緯もあり、完全な空き家になってしまうと聞いたときは、頭を抱えました。
当時新卒で働き始めたばかりの私、高校生の妹、会社員の母の私たち家族3人は、暗澹たる気持ちで隣家のベランダを注視していました。
会社が休みだった私と高校生の妹が2人で家にいたある土曜日、妹はベランダ越しに隣の様子を観察していました。
「お姉ちゃん、ちょっと来て」というので私もベランダに出てみると、隣家のベランダに3羽の鳩が来ていました。
3羽の鳩はクルックーと鳴きながら何か会話をしているようにも見えたので、妹が鳩の声を代弁するかのように、鳩夫婦と不動産屋という設定でアテレコしました。
鳩夫婦「ここにしよっかー」
不動産屋鳩「隣の人(私たち家族のこと)ちょっとうるさいですけどねー」
そんなバカ話をしているうちに3羽は一度去っていきました。
妹のアテレコ設定は合っていたようで、鳩夫婦と名付けた2羽だけが戻ってきて、お隣のベランダの、我が家から一番離れた場所に巣作りを始めました。
翌日には上手に巣を作り終え、鳩嫁がちんまりと座っていました。
その様子を見て私は「またか...」と肩を落としていたのですが、妹は「今度こそ戦う!」と宣言し、子どもの頃の玩具箱から銀玉鉄砲と水鉄砲を取り出しました。
両方とも私が小学生の頃(1978年くらい)に駄菓子屋で購入したものです。
妹は最初に銀玉鉄砲を手にスナイパーのような姿勢で鳩を狙って引き金を引きましたが、銀玉は弧を描いて2メートルくらいの場所にポコンと落ちました。
何発撃っても同じ結果のまま玉が尽き、鳩嫁も狙われていることすら気づかない様子。
妹は次に水鉄砲で鳩を狙いました。
水鉄砲は弧を描きながらも銀玉鉄砲よりは遠くまで届き、何回かに1回はかすかに鳩嫁に届きました。
しかし、雨粒が当たる程度の威力なので鳩嫁は全く動じていません。
「もうあきらめよう」と私が言うと、妹は急に自分のした行為が心配になったようです。
「お姉ちゃん、水は乾くからいいけれど、銀玉は回収しておかないと怒られるかもしれない」
そう言って涙ぐんでしまったので放ってはおけません。
幸い銀玉は我が家のベランダからそれほど遠くない場所にまとまって落ちていたので、姉妹で銀玉の回収作業を始めました。
物干竿の先にベランダ掃除用箒をガムテープで付け、柄の部分が異常に長く重い箒を製作。
竿をベランダから落とすと大事故になるので、2人でしっかりとホールドし、銀玉を我が家のベランダの方向へ寄せる作業を四苦八苦して続けること2時間。
鳩の糞なども一緒に引き寄せてしまうのは仕方がありません。
その間、鳩夫も帰宅し、鳩夫婦は私たち姉妹を完全に無視してすまし顔。
汗だくになって何とか銀玉を全部回収しました。
鳩との闘いはその後も続きましたが、今となっては妹とのバカバカしくも楽しい思い出です。
関連の体験記:6年前に建売住宅を購入した我が家。でもお隣さんが曲者で...ご近所付き合いってホント大変!
関連の体験記:気付いたら自分が"困った隣人"に! 以前の住人が育てていた植物がお隣さんの家を侵食...
関連の体験記:「苗を植えておいたから」って、ここはうちの庭です! ご近所さんの「善意」と戦った12年前の出来事
- ※
- 健康法や医療制度、介護制度、金融制度等を参考にされる場合は、必ず事前に公的機関による最新の情報をご確認ください。
- ※
- 記事に使用している画像はイメージです。