<この体験記を書いた人>
ペンネーム:ビックママ
性別:女
年齢:42
プロフィール:専業主婦。最近はガーデニングに興味あり。
12年前の出来事です。
私たちが買った家は当時から10年ほど前(今からだと22年前)に10棟建てられたうちの一つでした。
周辺はずっと昔から住んでいた人と、10棟一緒に家が建った時にこの地域に引っ越してきた人たちで、皆さん私たち夫婦より年上の方々でした。
私たちが引越ししてきた時は長女3歳、次女0歳で、この地域には珍しく若い家族が来たと、みんな私たちに興味深々の様子でした。
小さい子どもたちがいるので、いろいろ気にかけてくれていたのかもしれません。
「昔はね〜。ここ何もなくて、ここから夕日が見えたのよ〜」
など昔の話を始め、ご近所さんの噂話などを教えてくれる世話焼きのおばちゃんKさんがいました。
Kさんのおかげで周囲にもスムーズに溶け込め、引越して3カ月後には町内会にも入り、仲間になれたと感じていました。
そんな中、ある日玄関先で何か音がするので、恐る恐るのぞくと、Kさんがうちの花に水やりをしていました。
夏の暑い日で、植物が枯れそうだったからとKさんはこともなげに言いましたが、その時はただただビックリ!
「ありがとうございます。子育てでそこまで気がまわらなくって!」
慌ててお礼を言ったのを覚えています。
Kさんはガーデニングや植物が大好きだったようで、それがキッカケでロックオンされてしまったようです。
「これを植えたらいいわよ!」
Kさんは自分のお家で植えきれなかった苗などを持ってくるようになりました。
ご近所さんということもあり、言われるままに植えていました。
Kさんは次第にエスカレートし、ある朝、家の周りをほうきではいて、掃除していると、彼女が近づいてきて言いました。
「ちょっとこっち来てみて! ここに小さなピンクの花が咲く苗を植えておいたから、雑草と間違えて抜かないようにね!」
そう言ってKさんが指さしたのはうちの敷地...。
え? 私に断りもなく、勝手にうちの敷地に植物を植えたの?
とても嫌でしたが、引っ越してきたばかりでご近所さんと不仲になるのを避けたかった私は「ありがとうございます」と言うしかありませんでした。
「ところでこのお花は何という名前何ですか?」
その時、つい気をまわした私は質問をしたのですが、Kさんからの答えは驚くべきものでした。
「...名前までは分からない」
そう、Kさんは自分の敷地に毎年咲いている名も知らぬ小さな花を、うちの庭に植えたのです。
数日悩んだ結果、雑草と間違えたフリをして、その花を全部抜きました。
Kさんは昔から住んでいる地主さんのような人なので、誰の家の敷地とは考えず、善意でそうしてくれたのかもしれません。
しかし、私にしてみればその土地は大金を払って購入した私たちの土地です。
善意とはいえ勝手にいじられるのは気持ちの良いものではありません。
Kさんが何か言ってくるかと思いましたが、私の気持ちを察したのか、花のことは何も言ってきませんでした。
今でもKさんとはご近所さんとして普通に接していますが、あの時、私が花を抜かずにいたら、もっとヅカヅカとうちの生活に踏み込んできたかもしれません。
そう思うとゾッとします。
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