<この体験記を書いた人>
ペンネーム:Ketch
性別:女
年齢:56
プロフィール:海外在住25年、バツイチ独り者。人生の失敗の数々を回収すべく奮闘中です!
25年の海外在住で気づいた日本と西洋のご年配の女性の違いの一つに、服装の色があります。
西洋の方は、70歳になっても80歳になっても、ピンクやベビーブルーの服を着て、ひらひらのスカーフを巻いて真っ赤なイヤリングをしてと、お洒落を忘れません。
むしろ年齢を重ねるほどどんどん派手になっていくんです。
それがなんだかとても素敵で、周りもぱっと華やぎますし、傍にいると楽しいと感じてしまうんです。
でも日本では殆どの方が年をとると華やかな色を避けて、地味な服を選ぶようになりますよね?
日本に住む81歳の母は、自称「お年寄御用達」の店でしか服を買わず、いつもくすんだ色の洋服を身に着けています。
どんなに勧めても明るい色の服は試着さえしてくれません。
ピンクとバラのモチーフがお気に入りのオーストラリア人の義母(80歳)に、日本ではみんな恥ずかしがって明るい色を着なくなってしまうんですよ、と話したことがあります。
その時の義母の言葉が印象的でした。
「年を取るほどに華やかなものを選んで、バランスを取らなきゃ。世の中暗くなっちゃうし、自分も周りも気持ちが映えないじゃない?」
確かにそうですよね。
着ている物の色や雰囲気で気分も変わるのは、多くの人が経験したことがあると思います。
自分の気分が変わるのだから、周りだって個人差はあるにせよ影響受けてもおかしくないですよね。
日本に一時帰国の折、ちょっと派手めのスカートでATMに並んでいた時のことです。
「素敵なスカートね、見ているだけで気持ちがいいわ」
そう声をかけてくれたのは、後ろに並んでいた70代と思われる女性でした。
「ありがとうございます、きっとこの色、似合われると思いますよ。今度ぜひこういう感じのスカート、選んでみてくださいよ」
その方の優しそうな雰囲気に甘えて、ついそんな偉そうなことを言ってしまいました。
「いえいえ、年寄りには地味な色じゃないと...」
「騙されたと思って、今度、明るい派手なもの、着てみてくださいよ。きっと気持ちがウキウキしますよ」
しり込みするその方に、しつこいかなと思いつつも、軽い調子で話したら、じっと私のスカートを見た後にこう言ってくれました。
「そうよね、今私が感じたように、私の周りの人たちも気持ちよくなってくれるならいいわよね。暗い色ばかりで自分も周りも暗くなってて、本当に沈んでたのよ。今度、チャレンジしてみようかしら」
その後、その方が本当に今まで遠慮してきた明るい色の服を手に取ってくれていたらとっても嬉しいですが、どうでしょうね。
そして私、母に対しても行動に出ました。
母は色白で、薄い水色がとっても似合うと思ったので、一度、内緒で買って行きました。
着てもらったところ、思った通りよく似合って、顔色も明るく見えるじゃないですか。
薄い色は太って見えるし、みんながびっくりするから嫌だ、と言いますが、写真も撮って本人に見せたところ、まんざらでもない様子。
自分で選ばないなら、私がプレゼントするしかないかなと思っていますが、いずれは自分で明るい色を選んでくれたらいいなと切に願っています。
母の年代の方は、こういうチャレンジを負担に感じる人もいるかもしれません。
ですが何か新しいことをするという刺激が生活にも張り合いを作って、いい効果があるといいなと願っています。
そうして、お年寄りのファッションがもっと明るくなったら素敵だと思いませんか?
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