<この体験記を書いた人>
ペンネーム:こと子
性別:女
年齢:48
プロフィール:関東住まい、会社員の夫(46歳)と長男(中1)の3人家族です。
もう10年も前の話になりますが、お正月になると思い出してしまう事があります。
息子(13歳)が2歳の時、お正月に東北にある夫の実家に帰省したところ、気温差のせいか家族そろってひどい風邪をひいてしまいました。
またお正月から体調不良になることは避けたかったので、翌年の1月2日・3日は私たちの関東の家に義両親(義父78歳・義母68歳)をお招きすることにしました。
私は2人をお迎えするにあたって、張り切って2泊3日分の献立を考えました。
今のようにインターネットで気軽にレシピ検索ができる時代ではありませんでしたから、図書館に行って料理の本を借りてきておせち料理の予行練習までしました。
もちろん、大掃除も同時進行で行いました。
小さな息子の相手と料理の用意と大掃除...正直言って元旦にはグッタリとしてしまいましたが、ここが嫁の踏ん張りどころ! なので笑顔で義両親をお出迎えしました。
2日の昼食と夕食はお雑煮・お汁粉・おせち料理を用意しました。
少し話がそれますが、東北ではすまし汁のお雑煮とあんこたっぷりのお汁粉を食べます。
お重に入れた栗きんとん・黒豆・煮物・伊達巻などは普段より良い材料を買い揃えて手作りしました。
主人も私も同県の出身なので、お正月に食べる物は似通っていますし、味付けが濃い目な点も同じです。
しかし、私の料理を食べた義両親からは「おいしい」の「お」の言葉も聞けませんでした。
自分で言うのもなんですが、私は料理が下手ではありませんし、同じ東北出身なので味付けが極端に違うという事もありません。
まったく褒め言葉のない義両親にモヤモヤしながら一日が終わりました。
翌朝、東北には「三日とろろ」といって1月3日にとろろご飯を食べる習慣があります(正月料理やお酒で疲れた胃腸を休める為だそうです)。
その為、朝ごはんにはとろろご飯とすまし汁と簡単なおかずを用意しました。
黙々ととろろご飯を食べる義両親。
そして朝ご飯を食べ終えた義母がとても明るく元気に「とろろ、すごくおいしかった! とろろがあれば他は何もいらないねぇ!」と言ったのです。
私の頭上からマンガの様にズドーンと石が降ってきた思いがしました。
ああそうか。
嫁が作った手料理なんかより自分の家で育てた山芋(義両親は趣味で畑を耕しています)の方がおいしいんだよな。
ここ一週間ほどの私の苦労は何だったのか...。
もう一気に疲れが出てしまい、その後は「早く帰ってください!」としか考えられなくなっていました。
今となっては笑い話で、ママ会の時のお笑いネタとして使っていますが、いつか息子が結婚してお嫁さんの手料理をいただく機会があったなら絶対、絶対褒めてあげよう! と決めている私です。
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