＜この体験記を書いた人＞
ペンネーム：ワンタック
性別：女
年齢：52
プロフィール：地方に高齢の両親が居る関東在住のフルタイムで働く主婦です。
数年前、地方の実家に住む母（80歳）は乗っていた自転車で転んで頭を打ち、救急車で運ばれました。
入院してMRIやCTスキャン、レントゲン等一通りの診断を受け、足の捻挫だけで頭には異常が見られなかったため、3日程度で退院になりました。
捻挫は良くなりましたが、その頃から母に話しかけても知らん顔をされたり、電話で頓珍漢な回答をしたりすることが続きました。
事故が原因で耳の聞こえが悪くなったのではないかと、再び病院で診て貰ったところ、医師の診断を聞いて愕然としました。
「耳は機能しているようですが、脳が声の認識をし難くなっているようです。事故が原因ではなく老化ですね」
老化が原因なら治療のしようがなく、母は渋々高価な補聴器を購入しました。
ですが、補聴器を着けてもなかなか聞き取れないようです。
「雑音がうるさい」
「耳に合わない」
「低い音が聞き取り難い」
「聞こえに違和感がある」
などなど、聞こえない言い訳をしていました。
そんな中、父（86歳）が緊急入院した時、母から「父が入院した。手術になるかもしれない」と半泣きで電話がありました。
私が母に「お父さんはどのくらいひどいの？」と聞いても「うん」。
「手術はいつなの!?」と聞いても「はいはい」。
「手術の立ち合いは誰がやるの？」と聞いても「そう」。
大事な話なのに一方通行で私の質問に全く回答してくれません。
私もついイライラし大きな声で「本当に聞こえている？」と電話口で言ってしまいます。
母も聞こえにくくて困っているのは分かりますが、私が聞きたい質問に全く回答して貰えないのは本当にストレス。
父の入院の件も病院に電話をしてやっと詳細が分かった次第です。
またある日、母から荷物が送られてきたのでお礼の電話をしました。
「そうそう、荷物送ったのよ」と言ったまでは良かったのですが、そこからが続きません。
「お返しの熨斗がある荷物は誰から？」と聞いても「うん」。
お返しをいただくような物を親戚や実家に送った覚えがないので「誰から何のお返し？」と聞いても「はい」。
ストレスがマックスになり電話口で怒鳴りたくなります。
「ほかの人と話す時に大変でしょう？」
さすがに心配になってそう聞くと、「近所の人や親戚の人と話す時は全く困らない」と言います。
実家の周辺は高齢者ばかりです。
耳の遠い人もそれなりに居るようで母の聞こえについて聞くと「たまに聞こえてないけど、顔を見て話せば表情も含め会話できている」と言っていました。
確かに顔を見れば表情や身振り手振りでなんとか会話は出来るかもしれません。
でも私とは電話でしか話せない現在、会話のキャッチボールが出来ないもどかしさとイライラで、母との電話が嫌いになってしまいそうです。
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