<この体験記を書いた人>
ペンネーム:梅の実
性別:女
年齢:49
プロフィール:人あたりが柔らかい、とよくまとめ事を任されますが人あたりが柔らかいのではなく人の動きに敏感なアラフィフです。
3年前、派遣社員で勤務した会社の女性上司Hさん(当時53歳)は、最速で部長に昇格した仕事のできる女性でした。
ある日Hさんから担当業務のことで話がある、と彼女の部屋へ呼び出されました。
何か任せてもらえるのかな、と思いながら行ってみると、
「うちのチーム内の懇親会、つまり食事会を企画してほしいの。チーム内のメンバーを知ることも大事だし、あなたの企画スキルを磨くことができるわ」
「分かりました。なにか条件はありますか」
「あなたがいいなと思った店で決めていいわ。予算は私が個人的に出す。候補が決まったら予算と内容を報告してくれる?」
「は、はい。分かりました」
「じゃあさっそく今月中に第1回を開催でよろしくね」
食事会や飲み会の幹事は、学生の頃から何度もしたことがあります。
人数や目的を把握してからお店をリサーチしてと、確かに、仕事のスキルアップにも繋がっていきそう...?
それに「Hさんが予算を出してくださって私が行きたいお店に決めていいって、なんかラッキー!」とだけその時は思っていたのでした。
早速チームの皆さんに懇親会をやることになったと話をしたところ、Hさんのことを苦手と思う人の方が多く「えー...」という反応。
Hさんはときどき感情的になって怒鳴り、みんなとやりあうことがあるので仕方ないところもありました。
だけど「Hさんのおごりでおいしいものが食べられる」とちょっと盛り上がりました。
皆さんにどんなお店がいいかを軽くリサーチしたうえで幾つかのお店の場所、店内の席レイアウト、予算と食事の内容をまとめてHさんにプレゼン。
無事に第一回目のお店が決まり、当日を迎えました。
選んだお店はこぢんまりとしたスウェーデン料理屋さん。
和やかに食事を楽しんでいましたが、チーム内のみんなが話しているのを聞いているだけでHさんは会話に入ってきません。
隅の席に座っているHさんは、私に「料理とって」とか「飲み物頼んで」というだけ。
本来、Hさんはよくお話しするタイプなのに?
その時ハッと気付いたのです。
これは、会話というか雰囲気も私がリードしていかないといけないのかしら!?
そしてHさんを会話の中心にしなければいけないのかしら?
そこで、私が昔していたスウェーデン大使館でのボランティア活動の話を、まず「フリ」として話しました。
そこから時期が冬だったことから、自然にウインタースポーツの話題にもっていき、「そういえば」とHさんがウインタースポーツ好きなことをみんなに伝えました。
そして、「Hさんは海外旅行お好きですが、スウェーデンとか北欧には行かれたことあるんですか?」と話をふったところ、Hさんは待ってましたとばかりに話し始めたのです。
あとはHさんの独壇場、食事の後のコーヒーを飲みながら2時間近く話していました。
お会計を終え、Hさんにごちそう様でしたとお礼を伝えて最寄り駅へみんなで歩いていたら、参加者の1人がHさんに聞こえないようポツリと言いました。
「やっぱりHさん、うちらに話を聞いてほしかったんだねー」
すると周りにいたみんなが「そうだねえ」と頷きます。
ああ、やはりそうだったんですね、途中で気づいてよかった...。
翌日Hさんからは「企画お疲れさま、よかったんじゃない。来月もよろしくね」と言われました。
Hさん主催、企画は私の懇親会は、私がその会社を辞めるまでの間、10回くらい開催されましたが、回を重ねるごとに、オフィスの雰囲気が柔らかくなっていきました。
少し不器用な上司が、チームのみんなともっと親睦を深めたかったための懇親会。
ですが準備のためにみなさんと話をしたりお店を調べたり、当日もみんなの様子を見ながら、退屈にしている人がいないか注意してリードするなど勉強になりました。
大変なこともありましたが、みんなの親睦も深めることができ、やらせていただいてよかったなと、思います。
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