「自分のできること」を少しずつ減らしていく...。86歳義母に「寄り添う」こと。/なとみみわ

人気ブロガーのなとみみわさんが、義母の「ばあさん」(2018年、88歳で他界)の介護エピソードを中心に、ブログでは書ききれなかった話をご紹介します。ある日、病院に行く途中、バス停で転倒してしまったばあさん。徐々に衰えていく義母に、良かれと思って「ばあさんが一人でできるうちは、手伝いすぎないように...」との思ってきたなとみさん。その思いで「がんばれ」と言い続けてきたのですが、この出来事をきっかけに「果たしてそれは正しかったのか...」と考え込んでしまい...。

前回のエピソード:ずっと「頑張らせていた」のかな...。待合室で思い悩んだ「老いていく義母への寄り添い方」

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今回転倒したばあさんを見て・・・

86歳になるこれまで。

ばあさんはがんばりながらも、

「自分でできること」のろうそくを、少しずつ、少しずつ消していっていたのかもしれない・・・

そう感じました。

もう1人で外出は厳しいかねえ・・・

バスで通院してるけど、そろそろタクシーもありかもしれないね・・・

少しでもろうそくを消さないよう、私たちは必至で応援してきたけど、やっぱり「老い」の中でばあさんのろうそくは、頑張っても頑張っても少しずつ消えていって、そしてそのひずみが今回、一気にあふれ出たように思ったんです。

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もちろん、ばあさんには元気で長生きしてもらいたい。

いつものコンビニで家族のためにしこたま・・・いや

自分のために黒糖黒飴をずっと、買って来てもらいたいって思ってる。

そのためには「歩ける」っていうのは基本中の基本なんだけど・・・。

買い物って、もう自由の塊みたいな行為。

コンビニに行って、たくさんある商品の中から、その時自分が一番食べたいモノを選ぶ。

誰にも気兼ねなく、自分のお金で自分の大好きなパンを買う。

ああ、なんて自由なんだろう・・・って、私はいつも思う。

今までだって、ちょこちょこと肩の荷は降ろし来てるわけで・・・

例えば、洗濯機が回せなくなった、掃除機がかけられなくなった、料理ができなくなった、お友達と遊びに行かなくなった・・・

今回肩の荷を降ろしたら、もしかしてばあさんは「買い物する自由」も手放してしまうかもしれない。

私が買って来たパンを「う~~ん・・・ちょっと違うなあ・・・」と、ピンとこないまま「ありがとう」って食べ続ける事になる。

そこで家族は考える。

ばあさんが少しでも快適に自由に過ごすためにはどうすれば良いのか・・・。

私たち家族にあまり負担がかからないようにするためにはどうすれば良いのか・・・

う~~~ん、う~~~ん・・・・・・・・・・・

とりあえず、もう少し深めに寄り添っておくか。と、嫁は思った。

【続きのエピソード】勘違いなのか、認知症なのか...。義母が見た「あるはずのない洗濯物」の正体は...⁉

【最初から読む】義母に「せん妄」の症状が...!介護と同居は、ある日突然やってきた/なとみみわ

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健康法や医療制度、介護制度、金融制度等を参考にされる場合は、必ず事前に公的機関による最新の情報をご確認ください。
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なとみみわ

テレビ制作会社に勤務。子育ても終わり趣味であるマンガを描きつつイラストレーターに転身。Web、雑誌、書籍、ムック、広告等を中心に活躍

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『ばあさんとの愛しき日々』

(なとみみわ/イースト・プレス)

ガンコだけど可愛くて憎めない、なとみ家のばあさん。いつも笑顔とすっとぼけた言動で家族を楽しくふり回す毎日。そんなばあさんと暮らした楽しくってかけがえのない日々を、あたたかく描くコミックエッセイです。

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