アメブロで「~こんな事を言っちゃあなんですが!~」を運営しているかづと申します。現在は夫婦二人と3ニャンとで暮らしています。私の嫁時代の体験を思い出しながら書いています。
前回の記事:大地震が襲った日。多くの人との安否確認と...姑との会話
1995年1月17日5時46分。私の住んでいる地域は大きな地震に襲われた。
姑は私の親兄弟の無事を心配するどころか、息子宅に被災した嫁の親族が入り込んで来ていないかばかりを心配していた。
テレビからは次々と被害の報が伝えられた。
どの局も、震災の影響で止まったライフライン、避難所の状況、物資の不足などを放送していた。
学校も幼稚園も職員が出て来られないのと給食が作れないなど色々な理由が重なり、「再開未定」と連絡が入った。
結果的には学校の再開は早かったが、やはり給食の無い午前中だけの登校だった。
近隣は戸建ての瓦が落ちたり家具を固定していない物が倒れたなどの程度で、火災や死傷者などの被害は出ていなかった。
姑から買い物に行きたいと連絡が入り、地震後ずっと休みで自宅待機になっていた夫と、同じく幼稚園が休みの次男と共に4人で行った。
スーパーはほんの数日前に買い物に来た時とは全く状況が変わっていて、あちこちの棚が空になっていた。
大きなリュックサックを背負った人たちがたくさんいて、一目でそれは被災者の方たちがここまで買い出しに来ているんだと分かった。
予定していたほどの量の買い物は出来なかったが、多少買い置きがあるので心配はしていなかった。
マンションまで帰り姑宅に荷物を運び込んだ。
留守番していた舅がテレビからの悲惨な状況を見ながら振り向いて言う。
「神戸はえらいことになっとるなぁ!」
それを受けて即座に姑が発した。
「スーパーなんかスッカラカンやったわ! リュックサック背負った人がワーッ!って来とってな! こんな所まで買い出しに来とるんやわ! それでこっちに住んどるもんが買いたいもんが買えんようになって、これってなんて言うんやったかなぁ...。 あっ!そうや! 二次被害や!」
この大変な時に自分のことばかり。
この時、本気で姑に殺意がわいた。
姑にも舅にも被災地に兄弟姉妹が数人いたので、私はそちらの被害状況はどうだったのか聞いた。
すると舅の親戚は被害が無かったので、自宅にそのままいるとの事。
そして姑の親戚は姑の兄(夫の伯父)宅に避難して身を寄せていると言う。
「伯母様たちはどんな状況なんですか? 何か差し入れかお手伝いに行った方が良くないですか?」
そう私が言い終わる前に姑が即座に大声を出した。
「そんなんせんとってね! 兄ちゃんの所に世話になった次はあんたの所にって言われたらどうするん!? 夫婦二人で住んどるんやったら部屋空いてるやろって言われたらどうするん!? 寄らず触らず、知らぬ存ぜぬでええの!」
姑は、自分が困った時は伯父に泣きついたくせに、親戚を助ける気は全く無いらしい。
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「この親にしてこの子あり」とはよく言ったもので、夫も同じく、私が私の親兄弟を心配する様な事を口に出すと、万一避難して来ると困るから何も言わない。
父から連絡があり、下弟を風呂に入らせてやってくれとの事だったので、夫が用事で家に居ない僅かな時間に入りに来させたり、食料品や生活用品を秘かに購入しては渡していた。
私の父と母は、それぞれ別の避難所で生活をしていた。
父は自宅の立ち入り禁止が解除になったので自宅に戻ったが、母は依然、避難所生活を続けていた。
当時は避難所ではなく親戚などの所に避難をすると、いわゆる救助物資が全く届かなかったり、各種の補助や給付の情報が届かないなどの噂もあって、母は「仮設住宅の抽選があるから」と避難所から動かなかった。
父は色々な瓦礫の撤去や倒壊した建物の解体などに走り回っていて、テレビのニュースにも登場し、瓦礫の上に乗って火消しの頭のごとく活躍していた。
そうこうしている内に学校や幼稚園が時短で始まり、また夫も出社するようになった。
私は内職で少しづつ貯めていたへそくりを使い、水のいらないシャンプーを箱買いして避難所に届けたり、ボランティアに参加した。
息子達の同級生の中にも、今回の地震で親戚を亡くした人もいて、正直言って被災したのが自分だったかも知れないと思うと、とにかく何もしないでのほほんとしている事が出来なかった。
そしてうちの地域の大きな公園や空き地に仮設住宅が建設されることとなり、自治連などが地域各所の代表会議で、その仮設住宅に今後続々と引っ越しで来る被災者へ支援をする為の割り振りが決まり、私はマンションの代表数人の中に入った。
数日後母から電話があった。
「仮設住宅に当たった! ここの地域に娘が住んでいますって言うたら一発で当たった!」
母が当たったその仮設住宅は、自宅から徒歩で5分の所だった。
続く
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