<この体験記を書いた人>
ペンネーム:夜更し派
性別:男
年齢:64
プロフィール:会社勤めを定年退職し、第2の人生を送っている64歳の男性です。少しでも収入を得ようとパートを始めました。
勤め上げた会社を定年退職しました。
悠々自適、と言いたいところですが、公務員の仕事を続けている妻(59歳)の稼ぎだけでは心許ありません。
自分の生活費ぐらいはと思ってコンビニでのパートを始め、令和に入った年には4年目を迎えていました。
「ほぼ同級生? 一つ先輩かな?」
コンビニのオーナー(63歳)は気さくな雰囲気でした。
「何かあったら気軽に相談してよ」
それが口癖で、店のパートやバイトの様子をよく見ている感じで、はじめは好印象を持っていました。
しかし、しばらくするとどうやら「調子のよいだけの人」だと分かってきました。
学生のバイトなどは入れ替わりが激しく、常時人手不足状態です。
また日中の時間が使えない彼らは、どうしても夜間や深夜帯に入りたがります。
時給が良いこれらの時間帯はパートとしても入りたいところなのですが、学生バイトを確保するには、この時間帯をパートに譲るわけにはいかないと考えているのは見え見えでした。
「あなたは、朝出がいいよね。年取ると夜は辛いでしょ?」
これがオーナーの決め台詞です。
朝7時からの早出のシフト、時給が下がるので敢えてやりたがる者はいません。
「いや、そんなことは......」
「いやいや、遠慮しないでよ。夜や深夜だと配送もあるから、体にもきついでしょ」
ほぼ同い年に言われたくないセリフです。
かくいうオーナーは、日中はほとんど店に出ず、深夜帯にばかり店に出ます。
もちろん、時給の高い深夜帯のバイトの数を減らすためです。
「いやあ日中は手慣れたパートさんがいてくれるから安心して任せられますよ」
などとおだててきます。
どちらかと言えば夜行性の私は、言われるように早朝が得意なわけではありません。
それどころか、いまも公務員として仕事をしている妻の弁当を作ったり、家事を済ませたりするのでできれば夜、せめて遅出にしてもらいたいところです。
コンビニにはもう一人パートの女性(55歳)がいます。
私より一回り若いのですが、この方は遅出に回されています。
「彼女に朝出を頼むことはできませんかね。私は遅出の方が助かるので」
オーナーに相談してみました。
「いやあ、それはかわいそうですよ、彼女はご主人の支度をしてから来てくれてるんですから」
一蹴されましたが納得のいかない私。
「えっ、私も妻の弁当を作ったり、家のことを済ませたりしてからにしたいので、状況は同じですよ?」
「ハハハッ! 昭和男児ともあろうものが、何を言ってるんだか。奥さんのことやら家のことやら、小さなことを気に掛けるなんておかしいですよ」
笑い飛ばされました。
主婦はけなげだが、主夫は勘案するに足りず、ということでしょうか。
昭和男児、などと時代錯誤も甚だしく、呆気に取られてしまいました。
損な役回りと思っても、安定して仕事を持ち続けるためには引き受けざるを得ません。
「夜強い若者は夜、朝強いベテランは朝、適材適所だよね」
さも心配りのあるかのようなオーナーの言葉には苦笑いするしかありません。
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