<この体験記を書いた人>
ペンネーム:向日葵
性別:女
年齢:51
プロフィール: 12歳から23歳の3人のこども&脳梗塞の夫(56)と暮らす、ワーキングマザーです。
2カ月ほど前から、左手首外側、手の甲側の関節になんとなく違和感を覚えるようになりました。
仕事と趣味の両方で日常的にパソコンを使ったり、荷物を持ったり手首に負担がかかる生活をしているので、いつの間にか傷めてしまったのだろうな...と。
違和感がある程度で痛みはほとんどなく、病院に行くほどではないと判断して、とりあえず常備薬のシップを貼って様子をみることにしました。
若い頃、手首の骨を折ったときはかなり腫れて痛みも激しかたったのですが、それに比べたらこのくらい平気だろうと、たかをくくっていたのです。
ところが、困ったことに違和感があった所がじりじりと腫れてきてしまいました。それも手首全体が腫れるのではなく、一カ所が柔らかいシコリのように腫れていて、そのシコリがだんだん大きく成長していく感じです。
腫れているわりにはほとんど痛みはなく、それがかえって不気味でした。
「このままシコリが大きくなり続けたら......」「これはもしかして悪い病気なのでは?」と悪い想像ばかりが膨らみます。
19歳の次女に、「お母さん、手首にシコリがあってだんだん大きくなってきてるんだけど、なんだと思う?」と手首を見せて聞いてみると、娘は驚いた表情で手首をまじまじと見つめ「よくわからないけど早めに病院に行った方がいいよ、お母さん!」と病院にいくように勧めてくれました。
確かに、病院に行けばシコリがなんなのかはっきりしますが、「もし癌だと言われたらどうしよう」という漠然とした不安があり、病院にいくことが怖かったのが正直な気持ちです。
もしかしたら、自然に治るかもしれない。でも、早く病院に行かなかったせいで手遅れになるかもしれない。
今まで経験したことがない手首の症状に、病院に行くこともできないまま数日が過ぎたある日。夕食後の食卓で、夫が神妙な表情で「話がある」と言いだしました。
改まってなんだろうと訝しんでいると、「お姉ちゃん(次女)から聞いたんだけど、手首にシコリがあるんだって?」と、私の左手を指さします。
私は、おずおずとテーブルの上に手を出して、腫れた状態を見せました。すると夫は、手首をじっと見つめ、ぽつりと一言。
「明日、一緒に病院に行こう」
明日は夫も私も仕事があり、病院に行くためには休まなければなりません。
「わざわざ休みを取らなくても。今度の土曜日にでも一人で行ってくるから」私がそう言っても、夫は頑として「明日一緒に病院に行く」といって譲りません。
実は夫は7年前に脳梗塞を患い九死に一生を得て、リハビリの末に最近復職したばかり。
1日も休まず行っている仕事を休んでまで病院に付き添ってくれようとする気持ちは、とても嬉しく心にしみました。
夫が病に倒れてから、3人の子どもたちを抱え、わが家の大黒柱として頑張ってきたつもりです。
でも、夫が社会復帰して気が抜けたのでしょうか。
病院に行くことすらできずにウジウジと悩んでいるなんて、ずいぶんと気持ちが弱くなったものです。
夫の優しい気づかいに背中を押されて、「どんな病気でも、ちゃんと治療しよう」そう改めて思い直し、翌日夫に付き添われて掛かりつけの総合病院を受診しました。
結果は...。
手首にゼリー状の物質がたまっているだけのガングリオンと呼ばれる病気で、そのまま様子を見てOKとの診断でした。
しばらくするとシコリはある日突然なくなり、あれだけ悩んだのはなんだったのか、自分でも拍子抜けするほどあっけなく手首の症状は消えました。
案ずるよりも生むがやすし、とはまさにこのこと。心底ホッと胸をなでおろした体験です。
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