義父母を在宅介護する山田あしゅらさん。義父が自分から行きたいと望んだパソコン教室に4回ほど通ったあとに、その教室のスタッフに対する不満をしたためた手紙を発見・・・。今回は、そんなあしゅらさんの義父の性格がわかる「ある電話」のエピソードです。
こんにちは山田あしゅらです。
『13番さんのあな―介護家庭の日常―』というブログで義両親の介護の様子を嫁の目線で綴り始めて10年以上が経ちました。義両親と同居しながら介護をしていた当時のことを思い出しながら書いています。
前回の記事:「絶対返してもらってない!」物を無くすたびに嫁を疑う義父/山田あしゅら
手紙に書いてあった通り、その後義父はパソコン教室に行こうとせず、教室通いをやめてしまいました。
一旦やめるとなったら気が変わることのない義父ですので仕方がありません。
そんな義父と一緒に暮らしていると
普段でも不思議に思うことに色々出くわします。
例えば昼間、どれだけ明るい日でもトイレに入る時には必ず電気をつけること。
わが家のトイレは採光窓が大きいので電気をつけたところで
まさに『昼間の行灯(あんどん)』。
加齢によって明暗の感知機能が落ちていることも考えられますが、
それ以前に義父のアタマの中には【トイレに入る→電気を点ける】
の一連の動作がしっかり設定されてしまっていて
どんな状況でもそれを変えることができないように見受けられます。
また、ある真夏の暑い日のことでした。
居間の電話機の通話中ランプが点いたままになっているのに気がつきました。
混乱期だった数年前はこの電話機をめぐって義父に振り回されることも多かったのですが
それでも義父の居室のある2階から電話を撤去することはあえてしませんでした。
関連記事:うつ病から一転、躁状態に...理不尽なクレーム電話をかけまくる義父に神経をすり減らす
混乱期が過ぎ去り、代わりに身体が思うように動かなくなった義父にとって電話は世間とつながる唯一のアイテム。
それさえ遠ざけてしまうのもどうかと思ったからです。
さて、通話ランプが点きっぱなしだった電話機。
しばらく間をおいて確認すると
あれ?まだついています。
義父が電話を受け取ったり、かけたりして話が終わった際に
子機の『受話器を置く』のボタンを押し忘れるのは...
これもまた良くあること。
これを押さないとお話し中のままになってしまうのです。
子機は他にもう1台あるのですが
当時家族中で『固定電話』を頻繁に使うのは...
既に義父だけとなっていましたので、
多分、2階の子機が『通話中』のままになっているのでしょう。
そこで2階にある子機を確認しに向かうと・・・
「あれ?」
義父が電話で誰かと大声でしゃべっているではありませんか。
どうも相手は耳が遠い人のようです。
そして
「いつ、松を切りに来てくれるんだね?」
とこれまた大声で聞いていて
相手は植木屋さんだと分かりました。
しかし何で今ごろ、松の剪定?
義父は一人の植木屋さんと懇意にしていて
毎年その植木屋さんに庭木の手入れを頼んでいます。
義父自身、身体がキツくなり草取りなど庭の手入れは全て
息子のとしおさんに丸投げ状態になっていましたが
植木屋さんに連絡を取り、剪定を頼むのだけは必ず義父と決まっていました。
その植木屋さんは義父とほぼ同年代。
数年前、脳梗塞を起こしてしばらくお休みされていたのですが
奇跡の復活。
仕事も少しずつ始められて
去年も一度来てもらってはいるのですが
夏真っ盛りのこの日の朝刊には
熱中症で救急搬送された人が1日7000人と書いてあったのに・・・。
少々耳も遠い植木屋さんとの電話のやり取りはしばらくするとどちらからともなく切られたようです。
果たして話が通じたのかどうなのか。
その後植木屋さんが訪れることはなく、やれやれでしたが
義父の方はそれでもまだ待ち焦がれていましたので
コンコンと今現在の暑さを説明し、やっと諦めてもらうこととなりました。
それにしても
どうして急に松の剪定を思いついちゃったのか謎ですが
(暇に飽かして話し相手が欲しかっただけかも・・・)
スイッチが入ると
前後の脈絡なく行動に出て、これまた修正が利かないというのも義父ならではです。
ご本人は
毎日クーラーの効いた部屋ばかりで生活していますから
下界が暑かろうが『そんなの関係ねえ』のでしょうけどね。
人との関わりが少なく
考えることが自分中心となってしまうと
アタマの切り替えはどんどん難しくなり
他人のことを考える余地もなくなってくるということなのでしょうか。
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