<この体験記を書いた人>
ペンネーム:ソラマメ
性別:女
年齢:50
プロフィール:8歳年下の夫、社会人の息子、中1の娘、81歳の実母の5人家族です。15年前に夫と再婚しました。
今から約20年前、私は離婚をし当時5歳の息子を引き取りシングルマザーになりました。
シングルマザーの日々は、仕事と家事と育児を一人でこなさなければならず、大変と感じることもありましたが充実していました。
そんな生活をしながら2年が経った時、仕事上の付き合いで8歳年下の男性と知り合いました。
当時私は34歳、その男性は26歳。
友達感覚で連絡を取り合うような仲でしたが、ある日突然彼からお付き合いをしてほしいと言われました。
年齢の差や息子のことも全部含めお付き合いをしたいと言われ、うれしかったです。
彼とは気が合うと思っていましたし、息子のことも考えてくれる優しい彼の気持ちが嬉しく、お付き合いを承諾することにしました。
その後、お付き合いは順調に進みました。
息子も彼のことが気に入り、一緒に遊びに行くと、別れ際に帰らないでと毎回泣くようになりました。
そんな息子のためにもお互いだんだん結婚を意識するようになりましたが、彼はまだ自分の両親に私のことを話していませんでした。
当時の彼は会社の社員寮で1人暮らしをしていました。
彼の実家は職場の寮から300キロほど離れた場所にあるため、彼が帰省にするのはお盆とお正月の年に2回くらい程度とのこと。
ちょうどお盆休みが近い時期だったので、帰省時に私のことを話すと言ってくれました。
そしてその帰省時に、彼はまず母親に私のことを話しました。
実家から戻って来た彼に、母親がどんな反応だったのかを尋ねました。
彼は言葉を濁しながら、こう教えてくれました。
「子供がいる8つも年上の女性とのお付き合いは、苦労するだろうからやめなさいと言われた」
聞いた時はショックでしたが、私も母親です。
息子を思う母の気持ちも痛いほど分かります。
私がもし彼の母親の立場だったら同じことを言うでしょう。
彼の親に反対されてまで付き合うのは、私の息子のためにも良くないと思い、もう彼とのお付き合いは止めようと思いました。
でも、彼は今度は父親に話してみるよと言ってくれました。
彼にとって母親の方が話しやすい存在だそうですが、父親にも勇気を出して話すと決心してくれたんです。
近々また実家に帰る用事が出来たから、その時に話すとのことでした。
そうして彼が実家に帰省した日。
私は淡い期待を抱きながら、彼が戻るのをじっと待っていました。
そんな最中、帰省中の彼から突然電話がかかってきました。
......嫌な予感がしました。また反対されたんだな、きっと。
「どうしたの?」
恐る恐る尋ねる私。
電話口の彼の声は弾んでいました。
「父親に話したら、孫が出来るのか? と喜んでいるんだけど」
「えっ」
予想もしなかった答えに私は動揺が隠せません。
「だから父親が孫が出来るって言って喜んでいるんだよ。しかも子供のためにも早く結婚しなさいって言ってるんだけど」
私は彼の言葉にあまりにもびっくりして、同時に嬉しくて涙があふれだしました。
......会ったことがない私との結婚をすすめてくれるなんて。
「とりあえず帰ったら話すから」
そう言って電話は切れました。
戻って来た彼に詳しく話を聞くと、彼の父親は「自分の息子が選んだ人なら間違いはない」と言ったそうです。
「年上の女性の方がお前に合ってる」とも。
そして、私に子供がいるということを話した時には、親になる覚悟が出来た彼をほめ、義父自身、孫が出来るということをとても喜んでいるとのこと。
さらに彼の母親は彼の父親の反応を見た後に「お父さんがそういうなら私も賛成するわ! 最初は反対してごめんね」と言ってくれたそうなのです。
寛大な彼の父親のおかげで話はどんどん進み、思った以上に早く彼と結婚することができました。
義父となった彼の父は、その言葉通りに孫が出来たことを一番喜んでくれて、孫になった私の息子に今も惜しみなく愛情を注いでくれています。
そして8歳年上の私のことも自分の娘のように可愛がってくれます。
私達を幸せに導いてくれた義父。
今でも心から感謝しています。
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