子どもの送り出しより大変...認知症を患った義母と私が繰り広げた7年間の「デイサービス攻防」

<この体験記を書いた人>

ペンネーム:NUTS
性別:女
年齢:53
プロフィール:子どもが2人いる、会社員です。2007年から7年間、認知症の義母の介護をしていました。

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私は認知症の義母(80代)と7年間、同居しながらの介護をしていました。

デイサービスにも毎日機嫌よく通ってくれていたのですが、お迎えのバスに乗せるまでの一苦労をお話ししたいと思います。

睡眠時間が不安定な義母は、朝、なかなか起きてきません。

「もうすぐお迎えの車が来るよ~」

何度か声をかけるとやっとこさ起きて、まずトイレに行きます。

そのトイレが長い。

そしてトイレの中でよく始まるのが独り言。

義母の独り言は落語のように1人で何役もすることが多いのです。

「なあ、あんた、朝ごはん食べた?」

「いいや、まだ食べさせてもらってないわ」

「ここの家は朝ごはんも食べさせてくれへんのやろか」

「私が言うてきたろか」

「そうしてくれる?」

などと延々と続きます。

それなりにストーリー仕立てになっているのが不思議でした。

また、ある時はひたすらトイレットペーパーをぐるぐる引き出してズボンのポケットに何度も入れています。

こういう時は、出てくると両方のズボンのポケットがぱんぱんに膨らんで、さらに手には丸めたトイレットペーパーが。

1回のトイレで1ロール使ってしまうこともあります。

私がタイミングを見て「朝ごはんできましたよ~」と大きな声で呼ぶことで、何とか終了に持ち込みます。

着替えも基本的に自分でしてくれるのですが、セーターの前にカーディガンを着ようとしたり、ズボンの前後が分からなかったりするので、用事がある風に部屋に入ってそれとなく促します。

この「それとなく促す」のが大切なんです。

あからさまに着替えを手伝うと「1人で着れるからほっといて!」とスネてその後の予定が大幅に変わってしまいます。

食事は自分で食べてくれます。

朝食はパンと甘いコーヒー、時々ヨーグルトを付けるのですが、なぜかいつもわざと食べ残して、それをティッシュでグルグル包んでポケットに入れようとします。

「これは何?」って聞いてしまうといけません。

「これ、お土産におかあちゃんに持って帰ってあげるねん」

「理科の実験で使う」

などと言い出して収集がつかなくなってしまいます。

黙って横を向いている隙にスッと取り上げたらあら不思議、なかったことになります。

食後の薬を飲んでもらうのがまた一苦労。

「後で部屋に帰ってから飲むわ」

などと永遠に来ない後回しにされてしまうこともあります。

そういう時には、ある質問をすると効果的でした。

「昨日病院に行ってきたの覚えてる?」

「覚えてないわ、私どこが悪いの?」

この答えが返ってきたら私の勝利です。

「血圧が低すぎるって言われたから、毎日お薬飲むようにってお医者さんから言われたでしょ」

すかさず薬を手のひらに乗せ、お白湯の入ったお湯のみを差し出します。

きちんとゴックンするように大好きな甘いものも出して、その場で食べさせる、というのがベストな流れ。

本当は降圧剤なのですが、どうも「私は低血圧」との思い込みが激しいので、そういうことにしておきました。

デイサービスの日は、ここからお迎えの時間を見計らって、30分前に「もうすぐデイサービスの車が来るよ」と伝えます。

「私が行くの? じゃあトイレに行っとかな」

トイレに行っている間に手提げ袋にハンカチやティシュ、着替えを入れ、帽子と杖を準備して玄関に靴を並べます。

ここでトイレから出て来てくれるとバッチリ。

「もう車が来るから靴はいておこう」

そう言って玄関に誘導し、靴を履かせて杖を持たせたところで車のバックアラームが。

機嫌の悪い時にはこの倍以上の声かけと時間がかかるのですが、デイサービスは乗合バス。

遅れてしまうと他の方に申し訳ないので、当時は必死でした。

デイサービスでもあの調子で周りを困らせているのだろうなと思いながら、私も仕事に行く準備をしていたあの頃。

実はこの話、かれこれ10年も前の話になります。

戻りたいとは思いませんが、クスっと笑えるようにはなりました。

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