「今、時間がなくて」そのひと言が言えない...捕まるととにかく長い「マンション1階のご近所さん」

<この体験記を書いた人>

ペンネーム:ゆらら
性別:女
年齢:51
プロフィール:75歳の母と私、30歳の娘でマンションに暮らし始めました。1階に住むお喋り好きな女性への対応で困っています。

「今、時間がなくて」そのひと言が言えない...捕まるととにかく長い「マンション1階のご近所さん」 4.jpg

今のマンションに引っ越して来た頃、ゴミ出しのルールや自治会の活動のことなど地域の情報について全く知らず戸惑っていた私に、声を掛けてくれた女性がいました。

彼女は私より10歳程年上で1階に暮らしていて、「元々世話好きだから」と言いながら、引っ越しの挨拶廻りなどでバタバタしていた私に色々と教えてくれて、とても助かったのを憶えています。

最初の頃は分からないことばかりだった為、細かく教えてくれて助かるなと思っていた私は、声を掛けられれば立ち話もしましたし、見掛ければ私から声を掛けることもありました。

私は元々あまり人付き合いが好きではなかったので、マンションの住民で敷地内の掃除をしたり、防災の日に避難訓練が行われたりしたときも、何となく彼女とあれこれ喋っていれば片付けることができたので、一緒にいました。

でも、住み慣れてくると子供の友達のお母さんとお茶を飲む機会ができたり、エレベーターでよく顔を合わせるうちに、話をする人が増えてきました。

いつの間にか、彼女とはゴミ出しのときや、外出をする際に1階のエントランスなどで顔を合わせれば、軽く言葉を交わす程度になっていました。
そんな風に疎遠になっていった大きな理由のひとつは、彼女と共通の話題もそんなになかったことです(子供の年齢もうちと大きく違っていました)。

もともと自分から話をすることが苦手な私は、何を話題に声を掛ければいいのか戸惑うようになってしまいました。

でも彼女は私を見掛ければ必ず声を掛けてくれて、ご家族のことや最近の出来事などを話してくれます。

話題に事欠かないことが羨ましいなとも思えて、私はひたすら聞く側、相槌を打つ側に徹していました。

でも、出会った最初の頃にのように私自身が知りたい、教えて欲しいと思っていた内容ではないお喋りが多くなると、身勝手な話だと思うのですが、付き合うのがしんどくなってきたのです。

ご家族のこと、特に旦那さんへの不満などは、彼女もストレス解消になるのかもと思い付き合っていますが、ときどき出てくるご近所さんの良くない噂話などは、正直とても疲れます。

頼りたいときだけ一緒にいて、そうでなくなった途端に苦痛だなんて。

そんな自分がとても嫌な性格に思えて誰にも相談できません。

同居している母にそれとなく話したところ、「サラッと聞き流せば良い」とか「ちょっと忙しいからと軽く断れば良い」と言われました。

でも、それも口下手な私にとっては簡単なことではないのです。

一番大変なのは朝のゴミ出しの時。

まだ家の中のことでバタバタと忙しい途中で1階に降りていくのですが、その時に声を掛けられるとしばらく時間を取られます。

今は在宅の仕事なので少しは時間にゆとりがあるのですが、やはり洗濯物が多くて洗濯機を2度回したい日などは、ゴミ出しをササっと済ませて部屋に戻りたいのです。

でも声を掛けられたら最後、長いときは1時間は離してくれません。

最近は母に頼んで、私がゴミ出しに行ったまま戻らないときは呼びに来てもらっています。

それで少し気を遣わず話を切り上げられるようになってきました。

でも、買い物帰りに声を掛けられたせいで夕食の支度が遅くなってしまったり、歯医者に出掛けるときに声を掛けられ予約の時間に遅れそうになり、慌てて車を運転して行ったりしたこともありました。

朝以外にもちょっと困るなと思う時があります。

「ごめんなさいね、ちょっと今は時間がなくて」

多分、そう伝えるだけで済むのだろうと思うのですが、その一言が言えません。

「今日はいるのかな」

そう冷や冷やしながらエレベーターに乗る日々が続いています。

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