「我慢して今の仕事を続けるべき」「料理は手作りがいい」――「普通」を押し付ける親に欠けている「能力」

「普通は」「常識」という言葉は親自身の欲求

まず、「普通は」「常識」と言われたら、発した側がこちらの行動を強烈にコントロールしようとしているセリフだと気づきましょう。

「普通」「常識」は、時代によって、地域によって、家庭によって、個人によって、異なります。どちらもあってないような、形のないあやふやなものです。少なくとも、親に断定できるレベルのものではありません。

「普通はこうするのに」「そんなの常識だ」という言葉に不快になっても、その親の価値観を信じる必要はありません。もしこのような言葉を使用されたら、「過度な一般化」の部分は真に受けないようにしてください。

そして、心の中で「この人は自分の欲求を認められず、素直に言語化できないから、こういう言い方をしているのだな」と考え、「普通も常識も本当の問題ではなくて、親が自分にそう動いてほしいのだな」と結論づけましょう。

そのうえで、ご自身はどうしたいか考えられたらベストだと思います。

もちろん親の要求をすべて断ってもいいですし、できる範囲で応えてもいいでしょう。何より、不必要にご自身を責めることがないように、不快感は軽くしていくことが大切です。

■親世代は、育った時代の影響で"内省力"が乏しい。
■「普通は」「常識」という言葉は、親の押しつけにすぎない。
■親の「過度な一般化」の言葉は、真に受けなくていい。
 

寝子(ねこ)
臨床心理士。公認心理師。
スクールカウンセラーや私設相談室カウンセラーなどを経て、現在は医療機関で成人のトラウマケアに特化した個別カウンセリングに従事。トラウマの中でも、親子関係からのトラウマケアと性犯罪被害者支援をライフワークとしている。
臨床業務の傍ら、ツイッター(X)で心理に関する発信をし始め、フォロワー1万人超え。
対処法よりも自分を理解することに重きを置いた内容が支持され、ブログ記事は「探していた答えが書いてあった」「自分の状態がクリアに理解できた」と評判になっている。

※本記事は寝子著の書籍『「親がしんどい」を解きほぐす』(KADOKAWA)から一部抜粋・編集しました。

この記事に関連する「暮らし」のキーワード

PAGE TOP