『怒れる老人 あなたにもある老害因子』 (安藤俊介/産業編集センター)第2回【全3回】
「老害」という言葉を目にする機会が増えました。周囲に何らかの迷惑を与えやすい年長者のことを意味するとされ、高齢者と呼ばれる年齢ではなくとも、「老害」にはなり得ます。歳を重ねて丸くなりたいはずが、なぜ「老害」となってしまうのでしょうか。『怒れる老人 あなたにもある老害因子』の著者で、一般社団法人日本アンガーマネジメント協会ファウンダーの安藤俊介氏は「怒りっぽくなるのも、ならないのも自分で選ぶことができる」と言います。本稿で「人はなぜ怒るのか」を知り、「丸く、穏やかになる未来」について考えてみませんか。
※本記事は安藤俊介著の書籍『怒れる老人 あなたにもある老害因子』(産業編集センター)から一部抜粋・編集しました。
怒る人が本当はしなければいけないこと
「怒りは身を守るためにある感情」と説明しました。怒るということは、自分の大切にしている何かが危険な目にあうというサインを感じたから起こる感情です。そのサインを感じたからこそ、怒りの感情を使ってそれを守ろうとしているのでした。
私達人間には、命が危険にさらされて怒るといった機会は社会生活の中では少ないでしょう。むしろ、大切にしている考え方、価値観、権利、立場、家族、仲間、生活といったものが脅かされることで怒りを感じて、それらを守ろうとすることの方が圧倒的に多いです。
では、それらのものが危機に瀕しているとして、感情的に怒って何かが解決できることはあるでしょうか。答えはノーです。感情的になったとしても、何も解決できません。むしろ、怒っている時こそ、冷静になり、相手に何をして欲しいのか、今どうしたら良いのか伝えなければいけません。
感情的になればなるほど、相手にしてほしいことは伝わらなくなります。なぜなら、感情的になると相手に対しての攻撃が始まるからです。そして攻撃された側は自分が今危機にあっていると認識し、怒りの感情を発動させて自分を守ろうとします。つまり、相手に怒りをぶつければぶつけるほど、相手も怒りで防御します。怒りで防御している人は相手が言っていることを理解したいとは思いません。むしろ、どうすればこの場から逃げられるか、或いは逆にやっつけられるかということに考えがいってしまうからです。