詐欺の手法は日々新しくなっていっています。主に高齢者が被害にあいやすいオレオレ詐欺を代表とする振り込め詐欺や、架空請求詐欺など有名なもの以外にも、融資のための保証金としてお金をだまし取るものなどがあります。パターンを見ていきましょう。
前の記事「こんなメールが来たらどうする?被害者急増中、「架空請求詐欺」の対応策(7)」はこちら。
〇金融商品など、取引名下に関する詐欺
「○○という会社から社債購入のご案内が届いていませんか」「お住まいの地域であなたに購入する権利が当たりました」など、実際には対価ほどの価値がない未公開株、社債などの有価証券や外国通貨、全く架空の有価証券などについて、電話やダイレクトメールなどにより虚偽の情報を提供し、その購入名目で金銭をだまし取ります。
〇ギャンブル必勝情報提供に関する詐欺
「パチンコ必勝法を教えます」「ロト6の当選番号がわかります」など、不特定の者に対してギャンブルに関する虚偽の情報を提供するなどした上で、会員登録料や情報料などの名目で金銭をだまし取ります。
〇異性交際あっせんに関する詐欺
「異性との交際をあっせんします」など、不特定のターゲットに対して、実際に異性と会わせたり、異性に関する虚偽の情報を提供したりするなどした上で、会員登録料や保証金などの名目で金銭をだまし取ります。
劇場型の詐欺が急増中
単に一人が電話をかけてきて、「今、困っている」というのではなく、登場人物を増やし、あの手この手で芝居を演出。より信憑性を持たせる、劇場型詐欺が急増しています。
その手口は巧妙で、
〇事前に身内を名乗り、「携帯電話の番号が変わったから控えておいて」などと連絡して電話番号を控えさせ、だましの電話をするときの警戒感を払拭させる。
〇あらかじめ、「風邪をひいて声が変だと思うけど...」などと言っておき、相手に疑問を抱かせないようにする。
〇下記のように複数の人を登場させ、もっともらしく話を展開する。
1. 主人や子ども、孫など、身内を装う者
2. 警察官や弁護士、鉄道関係者を装う者
3. 痴漢の被害者の身内や交通事故の当事者を装い、被害を受けたと主張する者
このように役割を分担し、巧みなグループワーキングで金銭をだまし取ろうとします。
人を不安に陥れるよう、もっともらしくストーリーが展開され、また、タイミングよく相手が電話を変わるので、最初は信じていなくても、次第にそのペースに巻き込まれてしまいます。
複数人が同一の件で電話をかけてくるため、あたかも本当に起きたできごとのように感じてしまうという心理をうまく利用しているのです。冷静に考える余裕をなくさせ、たとえオレオレ詐欺の手口を知っていてもだまされてしまう人が後を絶ちません。
くれぐれも気をつけて。
●振り込め詐欺の相談窓口
「詐欺かな」と思ったら、すぐ警察へ通報しましょう。また、下記のような相談窓口もあります。
架空請求や不当請求
架空請求や不当請求でお悩みの方やお困りの方は、最寄りの「消費生活センター」にご連絡ください。最寄りの消費生活センターがわからない場合は、独立行政法人国民生活センター「消費者ホットライン」(局番なしの「188(いやや)」番、または「0570-064-370」)でもかまいません。
なお、最寄りの消費生活センターの連絡先は、国民生活センターのウェブサイトでもチェックできます。
・架空請求メール
パソコンや携帯電話に心当たりのない請求メールが届いた方は、下記の警察庁ウェブサイトを参考にしてください。
・キャッシュカード詐欺
警察官や銀行協会職員を名乗る者からの電話などで少しでも不審に思った場合は、最寄りの警察署や相談窓口(♯9110)までご連絡ください。また、全国銀行協会のウェブサイトにも情報が掲載してあります。
取材協力:警視庁、警察庁
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取材・文/橘内美佳