一般消費者を対象とした組織的、反復的な商取引において、不当な手段や方法が見られるものを悪質商法と呼び、警察庁では注意を呼び掛けています。警察庁が発表した平成29年の相談件数は6780件、総被害額は282億円にものぼります。年々巧妙化する悪質商法。その手口や騙されないための注意点・対策をご紹介いたします。
不安を煽る「点検商法」
無料の点検を装って家に上がり、住宅や水道管などにリフォームやクリーニングが必要と不安を煽り、高額な工事や商品を契約させる商法です。
住宅のシロアリ駆除、壁や瓦の修繕、浄水器の設置などがあり、まったく必要のない工事をおこなったり、無料と案内しながら有料の工事を断れない状況にまで追い込む事例が見られます。
◯ポイント
「無料」という言葉に流されず、すぐに家に上げないことが大切です。信用できる業者なのか、訪問があったあとに自身で調べる、家族に相談するなどその場での決断はしないようにしましょう。
うまい話には裏がある「利殖商法」
手持ちの資金を増やしたいという気持ちに付け込んだ投資詐欺です。「元本を補償する」「100%儲かる」「選ばれた人だけへの案内」などと言葉巧みに持ち掛け、多額の出資金を騙し取ります。
◯ポイント
立派なパンフレットや証書に惑わされず、紹介者が知り合いであっても元本保証や高配当、必ず儲かるといった甘い話に乗らないことが大切です。契約する前に家族や信用できる人に相談しましょう。
脅しや脅迫まがいの事例も「押し付け商法」
家に上がり込み高額な商品を案内します。購入するまで居座ったり大声で脅かしたりして、布団やアクセサリー、装飾品などを無理やり売りつける商法です。
◯ポイント
訪問セールスに対しては、すぐに家に上げずインターホンやチェーンをしたまま対応します。必要ないことをはっきりと伝え、しつこい・帰らない時は110番へ通報しましょう。
被害にあわないポイント【う・そ・つ・き】
悪徳商法の被害にあわないためのキーワードは「悪質業者はうそつき」です。
【う】うまい話を信用しない
(うまい話、絶対儲かる話は必ず大きな落とし穴がある)
【そ】相談する
(一人で判断せず、家族、知人、消費者生活センターなどに相談を)
【つ】つられて返事をしない。すぐに契約をしない
(悪質業者は言葉巧みに契約を迫る)
【き】きっぱり・はっきり断る
(あいまいな返事をせず、きっぱり! はっきり! 断る)
大きな災害の復興やオリンピックなどの大型イベントがあると、それらに便乗した悪質な商法事例が増加します。不審な点を少しでも感じたら、契約や支払いをせず、まずは警察や消費者センターへ相談しましょう。
文/大塚 香