あちらこちらで振り込め詐欺にあわないようPRされている昨今、「こんなに報道されているのにまだ被害にあう人がいるの?」と思っている方も多いでしょう。「うちの親に限って大丈夫」と思っていませんか?いえいえ、詐欺にあった人のほとんどが「まさか、こんなに簡単にだまされるなんて」と思っていると言います。念には念を入れて。
前の記事「警察官をかたるパターンも!高齢者ターゲットの振り込め詐欺(3)」はこちら。
油断大敵! こんな風に思い込んでいたら要注意
振り込め詐欺チェックリスト
□うちの親はボケていない
□うちの親にはお金がない
□一緒に住んでいる
□よく連絡を取っている
□よく説明してある
振り込め詐欺は、親や祖父母のこんな気持ちにつけこんできます
◆息子や孫を思う親心は図りしれません
⇒犯人の電話を息子や孫からの電話と信じ込み、警察官が「これは詐欺です」と説明しても、お金を渡そうとする方が多くいます。
◆官公署の名前で電話されると、信ぴょう性があります
⇒親に限らず、誰もが官公署の名前を出され、親切丁寧な応対であれば、信用して当たり前です。一方で、恫喝し、慌てさせるケースもあります。
◆「犯罪行為に加担したかも!」「トラブルに巻き込まれたかも!」とあわてさせます
⇒犯人は、言葉巧みに不安感をあおり、「トラブルになってしまったかも!」とあわてさせます。そして、犯人の言葉を信じ込ませ、解決に乗り出させようとするのです。
郵便局で局員から使い道や振込先との関係を何度も聞かれたにもかかわらず、「話が大きくなると会社に知れてクビになっちゃうから、郵便局の人には余計なことを言わないで」と口止めされ、制止を聞かず強引に振り込んでしまった、などというケースも。
知っておきたい基礎知識
知識1 電話を詐欺対策バージョンに!
最近の電話機は、通話の前に「この通話は録音されます」などというメッセージが流れるものが多くあります。このメッセージが流れると、「録音されては困る」と、犯人はこわがって電話を切ります。
こちらの記事も参考に「高齢者ターゲットの振り込め詐欺。今、子ども世代ができることとは?」
知識2 お金を渡すのは本人限定に!
お金を渡す相手がどんな人なのか、わかりません。警察官や弁護士を装っている可能性も大いにあります。
いくら「緊急だ」と言われても、お金を必要としている本人(息子や孫など)以外には絶対にお金を渡してはいけません。
知識3 お金をレターパック、宅配便で送らない!
詐欺は、振り込みや手渡しだけではありません。「レターパックや宅配便で現金を送れ!」というのは100%詐欺です。
知識4 還付金などの返還手続きはATMではできない!
ATMで医療費や保険料の還付金は受けられません。万一、振り込まれるとしても、こちら側で操作する必要はなく、ただ待っていればいいのです。
知識5 還付金の支払いでATM操作を求めることはない!
還付金や過払いなどの返却は、手渡しか、相手からの銀行振込が原則で、金銭の受け取りに際して自身がATMの操作を求められることはありませんし、さらには自分の操作で他の口座から自分の口座へ資金を移すこともできません。
中でも公的な機関が、還付金の返却を電話連絡したその場で行うことはありえず、書類を介して口座や金額を確認する手続きを経て、ようやく振込みが行われると知っておいてください。
知識6 警察官などが暗証番号を聞いたりしない!
警察官・銀行協会職員だけではなく、他人には絶対にキャッシュカードなどの暗証番号を教えてはいけません。そもそも、警察官などが暗証番号を聞くことはありません。
知識7 詐欺の手口を確認して!
だまされないためには詐欺のパターンをよく知っておくことが大切です。具体的な詐欺の手口をご両親に伝えてあげてください。
●振り込め詐欺の相談窓口
「詐欺かな」と思ったら、すぐ警察へ通報しましょう。また、下記のような相談窓口もあります。
架空請求や不当請求
架空請求や不当請求でお悩みの方やお困りの方は、最寄りの「消費生活センター」にご連絡ください。最寄りの消費生活センターがわからない場合は、独立行政法人国民生活センター「消費者ホットライン」(局番なしの「188(いやや)」番、または「0570-064-370」)でもかまいません。
なお、最寄りの消費生活センターの連絡先は、国民生活センターのウェブサイトでもチェックできます。
・架空請求メール
パソコンや携帯電話に心当たりのない請求メールが届いた方は、下記の警察庁ウェブサイトを参考にしてください。
・キャッシュカード詐欺
警察官や銀行協会職員を名乗る者からの電話などで少しでも不審に思った場合は、最寄りの警察署や相談窓口(♯9110)までご連絡ください。また、全国銀行協会のウェブサイトにも情報が掲載してあります。
取材協力:警視庁、警察庁
次の記事「高齢者ターゲットの振り込め詐欺。今、子ども世代ができることとは?(5)」はこちら。
取材・文/橘内美佳