元娘婿からの養育費の支払いが3か月でストップ。継続してもらうには?/法律・税金で悩んだらプロに相談

離婚をする際に、その夫婦の子どもの養育に必要な費用の負担について決めることがあります。この費用のことを養育費といいますが、最近は支払いが滞ったりのトラブルも多くなってきています。こういった場合の対処法を、弁護士の林 友宏先生に伺いました。


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【相談】
娘が昨年離婚し、元娘婿に養育費を支払ってもらうことが離婚の条件にあったのですが、3カ月間振り込まれただけで、振り込みがストップしてしまいました。元娘婿は会社員ですので、定期的な収入はあるはずです。支払いを継続してもらうためにはどうすればいいですか? (女性71歳)

 

林先生の【お答え】
公証役場や裁判所で決めた条件であれば、強制執行を行うことが可能です。

養育費の金額や支払い方法は、まずはご夫婦で協議をして決めることになりますが、協議がまとまらないときや協議ができないときには、家庭裁判所で決めることになります。なお、養育費の金額については、両親の収入をもとにした金額の目安の資料(養育費の算定表)が公表されており、これに基づいて決まることが多いです。

今回は、養育費の支払いについての取り決めはあったものの、支払いが止まってしまったとのご相談です。ここで、最初に確認しておく点は、養育費の金額や支払い方法をどのように取り決めしていたかということです。

公証役場で作成する公正証書や家庭裁判所の調停手続きで作成する調停調書で養育費に関する取り決めがなされていれば、支払いが止まったときには、「強制執行」をすることができます。もし、父親に対して、養育費を請求しても支払ってもらえないときには、その父親には会社員として定期的な収入があるとのことなので、勤務先に対する給与債権や給与の振込先の金融機関の口座等を差し押さえる方法が考えられます。

これに対して、養育費に関する取り決めが公正証書以外の合意書で合意されているにすぎない場合は、直ちに強制執行をすることはできません。その合意書をもとに父親に養育費を請求し、それでも支払ってもらえない場合には、裁判手続きを経ることになります。

また、養育費に関する取り決めが口頭でなされている場合には、養育費の金額や支払い方法について、「言った、言わない」という争いになる可能性があります。この場合、3カ月間支払われていたということなので、裁判手続きにおいて、その期間に支払われた金額で合意がなされいたと主張していくことになるものと思われます。

ご相談の回答としては、まず、お孫さんの父親に対して、離婚の際に取り決めた養育費の支払いを請求することになります。もし、養育費の支払いに関する公正証書や離婚調停の調書があるにもかかわらず、請求に応じてもらえない場合には、これらに基づいて、父親の給与債権や預金債権差し押さえることになります。

他方、養育費の支払いが口頭でなされている場合や公正証書ではない書面による合意による場合で、請求に応じてもらえないときは、裁判手続きを経ることになります。お孫さんのためにも、早く養育費の支払いが再開されると良いですね。

 

※「法律・税金で悩んだらプロに相談」そのほかの回はこちら。

 

 

<教えてくれた人>

弁護士 林 友宏(はやし・ともひろ)先生

弁護士法人梅ヶ枝中央法律事務所東京事務所所属。企業法務をはじめ、個人から依頼を受けて相続、交通事故、離婚、刑事事件など幅広い案件を担当している。

この記事は『毎日が発見』2018年12月号に掲載の情報です。

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