「年金は繰り上げてもらった方がいいのか、繰り下げてもらったほうがいいのか」、「夫が亡くなったらどうなるのか」などの気になる疑問に、年金に詳しい社会保険労務士の望月厚子さんに答えてもらいました。
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前の記事「夫が亡くなったらいくらもらえる? 60歳以降に働くと年金は減らされる?/年金Q&A(3)」はこちら。
Q 年金から何が引かれているの?
A 介護保険料や年金額によっては税金が引かれます
老齢年金からは、介護保険料などの社会保険料と所得税などの税金が引かれます。老齢年金からの天引きではありませんが、これ以外に60代以上が支払う可能性が高い税金は、持ち家があれば固定資産税などの他、相続税や贈与税などがあります。
Q 年金で節税することは可能なの?
A 確定申告をすれば所得税の一部が戻る可能性があります
税負担を軽くするため、「公的年金等控除額」が設けられています。例えば、65歳以上で公的年金額が330万円未満の場合は120万円を控除できます。さらに、社会保険料控除や医療費控除などがある場合は、確定申告によって所得税の一部が戻る可能性があります。
Q 離婚したときに夫の年金の半分がもらえるって本当?
A 婚姻期間中の厚生年金記録の最大で半分です
2007年4月以降に、会社員の夫と離婚した場合、結婚している間に夫が支払った厚生年金の保険料の一部を妻が支払ったものとして、厚生年金の納付記録の最大半分を受け取れます。
ただし、受給できるのは妻が老齢年金を受け取る年齢に達している必要があるので、離婚してすぐに慰謝料代わりにもらうことはできません。もらえる納付記録は最大半分で、実際の割合は年金事務所で決めることはできません。自分たちで話し合ってその割合を決めることになります。婚姻中に妻が働いている場合は、妻の厚生年金の納付記録も合算して分割することになります。離婚から2年たつと夫婦ともに請求できなくなるので注意してください。
Q 年金はどこで相談すればいいの?
A 最寄りの年金事務所などで相談できます
公的年金は手続きしないともらうことができません。年金をもらえる支給開始年齢の3カ月前に日本年金機構から書類が届きます。書類を見てもよくわからない場合など、最寄りの年金事務所で年金の相談ができます。年金事務所の所在地などは、ねんきんダイヤルや、インターネットで日本年金機構と検索すると分かります。
取材・文/金野和子
望月 厚子(もちづき・あつこ)先生
社会保険労務士。ファイナンシャル・プランナー。一般社団法人新都心シニア生活サポート代表理事。年金などの相談業務の他、新聞や雑誌などへの執筆も行っている。