相続した土地を売却したいのですが、必要な資料が見つかりません/法律・税金で悩んだらプロに相談

不動産を購入したのが、数十年前といった場合、契約書などの資料が見当たらないといったケースはよく見聞きします。しかし、購入時の資料がなければ売却時に税金負担が大きくなる可能性が高くなってしまいます。

このような場合、どうしたらいいのか、税理士の坂本 剛先生に教えてもらいました。


pixta_44889263_S.jpg【相談】
親から相続した土地を売却したいのですが、契約書など購入時の資料が見つかりません。何か問題はありますか? (女性 59歳)

 

坂本先生の【お答え】
購入時の資料がなければ、売却時の税金負担が大きくなってしまうことがあります。

まずお伝えしたいことは、不動産を売却することで利益が出れば、税務申告と納税が必要となるということです。この場合の「利益」とは、売却金額から、購入代金と売買の費用を差し引いた金額のことを指します。

購入時の不動産売買契約書や領収書などの資料がない場合、通常は不動産売却金額の5%が購入代金とみなされます。

多くのケースでは購入代金は、不動産売却金額の5%よりも大きな金額ですので、購入時の資料がなければ売却利益が大きくなり納税額が増えてしまいます。

不動産を売って得た利益のことを「譲渡所得」といいます。建物や土地を売ったときの譲渡所得にかかる税金は、事業所得や給与所得などの所得と分離(分離課税)して、計算することになっています。

なお、不動産売却金額より購入代金の方が大きい場合は、利益がないので税務申告と納税は不要です。

不動産売却により利益が出れば、譲渡所得に対して所得税と住民税がかかります。税金の計算式は、譲渡所得×税率(所得税+住民税)で、税率は不動産を5年以上所有していた場合は20.315%(内訳は所得税15.315%+住民税5%)、5年未満しか所有していなかった場合には39.63%(内訳は所得税30.63%+住民税9%)です。

購入時の資料を捜しても見つからない場合には、売却金額の5%(概算取得費)ではなく、別の方法も認められる場合があります。例えば、国税庁から出されている「建物の標準的な建築価格表」や、一般財団法人日本不動産研究所から出されている「市街地価格指数」を用いて取得費を算出すれば、そちらが適用される場合があります。

また、マイホーム(居住用財産)を売ったときは、所有期間の長短に関係なく譲渡所得から最高3000万円まで控除ができる特例もありますので、税理士などの専門家に一度ご相談されることをおすすめします。

<譲渡所得税の計算例>
不動産売却金額が5000万円、実際の購入代金が4500万円の場合

■契約書がある場合(所有期間5年以上の場合)
不動産売却金額5000万円-(取得費4500万円-減価償却費1000万円)=1500万円
1500万円×20.315%=304万7250円

■契約書がない場合(所有期間5年以上の場合)
不動産売却金額5000万円-取得費250万円=4750万円
4750万円×20.315%=964万9625円

※この式は諸条件を単純化しています。実際の金額は諸条件により異なる場合があります。

  

※「法律・税金で悩んだらプロに相談」そのほかの回はこちら。
 

<教えてくれた人>
坂本 剛(さかもと・つよし)先生

坂本会計事務所代表。個人・企業の税務相談に応じる傍ら、講演活動も多数行っている。著書は『知識ゼロから決算書が30分でわかる本』(角川新書)他。

この記事は『毎日が発見』2018年11月号に掲載の情報です。

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