小型、高速、大容量。三拍子揃った記憶装置「フラッシュメモリー」/すごい技術

pixta_20352652_S.jpg私たちは毎日身のまわりの「便利なモノ」のおかげで快適に暮らしています。でもそれらがどういう仕組みなのか、よく知らないままにお付き合いしていませんか?

身近なモノに秘められた"感動もの"の技術を、書籍『身のまわりのすごい技術大百科』がわかりやすく解説します!

◇◇◇

前の記事「光ディスクの容量は、刻まれたくぼみの数と密度で決まる/すごい技術(13)」はこちら。

 

●フラッシュメモリー

小さくて高速、大容量と、三拍子そろった記憶素子。最近はハードディスクを代替するSSDとしても商品化されている。

パソコンで利用されるUSBメモリー、デジカメやビデオカメラの映像記録に利用されるSDカードやメモリースティックにはフラッシュメモリーが用いられている。小さくて軽く、高速大容量なのでたいへん便利だ。

フラッシュメモリーは半導体で作られている記憶装置である。ハードディスクが磁気で、CDが表面の凹凸(おうとつ)で情報を記録するのとは異なる。半導体でできているがゆえに、高速処理と微小化が可能になるのだ。

 

gijutsu_p103.jpg

フラッシュメモリーの構造を調べてみよう。フラッシュメモリーの1ビットにはソース、ドレイン、ゲートという三つの電極を持つ一つのセルが対応する。このセル構造はCMOS型と呼ばれ、他の多くのLSIと共通する。フラッシュメモリーに特徴的なのは、そこに浮遊(ふゆう)ゲートと呼ばれる小部屋が組み込まれていることである。

フラッシュメモリーの読み書きの動作を調べてみよう。まずはデータの書き込み。ビット「1」は初期状態、すなわち浮遊ゲートに電子が存在しない状態を対応させる。ビット「0」の書き込みには、ソース・ドレインに電圧をかけ、さらにゲートに高電圧をかけて、大量の電子を流す。その電流の一部を浮遊ゲートに誘導して貯(た)めることで、「0」を表現する。逆電圧をかければ、再び「1」に戻る。

 

gijutsu_p105.jpg

続いてデータの読み出しを調べてみよう。読み出しには、ゲートに低電圧をかけ、ソース・ドレイン間にも電圧をかける。浮遊ゲートに電子がなければ、通常のCMOSと同一なので、電子が流れる。浮遊ゲートに電子があれば、弱いゲート電圧は打ち消され、電子が流れない。こうして電流の有無で、データの「1」と「0」を読み取ることができるのである。このように、浮遊ゲートを巧(たく)みに利用することで、フラッシュメモリーはデータの読み出し・書き込みを実行するのである。

最後に、このメモリーの発明者は日本の舛岡(ますおか)富士雄氏であることを記しておこう。

 

次の記事「「竜巻内蔵」でゴミを振り落とせ! サイクロン掃除機/すごい技術(15)」はこちら。

 

「すごい技術」その他の記事はこちら。


涌井良幸(わくい・よしゆき)

1950年、東京都生まれ。東京教育大学(現・筑波大学)数学科を卒業後、千葉県立高等学校の教職に就く。教職退職後の現在は著作活動に専念している。貞美の実兄。


涌井貞美(わくいさだみ)

1952年、東京都生まれ。東京大学理学系研究科修士課程修了後、富士通に就職。その後、神奈川県立高等学校教員を経て、サイエンスライターとして独立。現在は書籍や雑誌の執筆を中心に活動している。良幸の実弟。


71wldThg5lL.jpg

『身のまわりのすごい技術大百科』

(涌井良幸・涌井貞美/KADOKAWA)

身近なモノに秘められた“感動もの”の技術、一挙解説! 身近な文具から、便利すぎるハイテク機器まで…あれもこれも、すべて「科学技術」の結晶なのです。日ごろよく使う「モノ」の“すごい技術”を図解でわかりやすく解説します。

この記事は書籍『身のまわりのすごい技術大百科』からの抜粋です

この記事に関連する「暮らし」のキーワード

PAGE TOP