「竜巻内蔵」でゴミを振り落とせ! サイクロン掃除機/すごい技術

pixta_17067390_S.jpg私たちは毎日身のまわりの「便利なモノ」のおかげで快適に暮らしています。でもそれらがどういう仕組みなのか、よく知らないままにお付き合いしていませんか?

身近なモノに秘められた"感動もの"の技術を、書籍『身のまわりのすごい技術大百科』がわかりやすく解説します!

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●サイクロン掃除機

電気掃除機にはフィルターが必要という常識を覆したのがサイクロン掃除機。その力の源は「遠心力」である。

サイクロン掃除(そうじ)機の最大のウリはメンテナンスフリーということ。フィルター交換の手間が不要なのだ。また、フィルターの目詰まりがないので、いつまでも吸引力が衰(おとろ)えない。

サイクロン掃除機のゴミ取りの基本は、一緒に吸い込んだ空気を容器の中で強力に回転させ、高速の渦を作ることにある。この渦状の風で遠心力(えんしんりょく)を作り、ゴミを振り落すのである。

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遠心力とは物が回転運動をするときに生まれる力である。遊園地のジェットコースターでカーブにさしかかると、体が外側に押し出される力を受ける。これが遠心力である。

遠心力は重いものほど大きく働く。ゴミと空気ではゴミのほうが重い。そこで、空気と一緒に吸い込まれて回転させられたゴミは遠心力で空気より外側に押し出され、壁面にぶつかり、壁伝いに落ちていく。こうしてゴミが分離されるのだ。

このしくみからわかるように、サイクロン掃除機は高速の渦を作る必要がある。これが騒音(そうおん)を発生させる。サイクロン掃除機がフィルター式のものよりうるさいのはこのためである。

遠心力を利用したものは、身のまわりにたくさんある。例えば洗濯の際に利用する脱水機。濡れた洗濯物を高速回転させ、遠心力で水をはじき飛ばしているのである。

遠心力は自然の世界でも大切である。例えば「潮(しお)の干満(かんまん)」の説明に遠心力は不可欠である。これを理解するために、月を省き、地球が太陽を公転する単純なモデルを考えてみよう。

gijutsu_p109.jpg地球が自転して東京が太陽に近い位置に来たとする。すると、東京湾の海水は太陽の引力に引かれて盛り上がり、満潮になる。面白いことに、このとき東京と地球の反対側でも満潮が起こっている。太陽から遠い位置にある海水はそのぶん強い遠心力を受け、太陽から遠ざかろうとして盛り上がるためだ。

実際には月の引力などが加わり、潮の干満は非常に複雑になるが、遠心力の大切さは理解できるだろう。

 

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涌井良幸(わくい・よしゆき)

1950年、東京都生まれ。東京教育大学(現・筑波大学)数学科を卒業後、千葉県立高等学校の教職に就く。教職退職後の現在は著作活動に専念している。貞美の実兄。


涌井貞美(わくいさだみ)

1952年、東京都生まれ。東京大学理学系研究科修士課程修了後、富士通に就職。その後、神奈川県立高等学校教員を経て、サイエンスライターとして独立。現在は書籍や雑誌の執筆を中心に活動している。良幸の実弟。


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『身のまわりのすごい技術大百科』

(涌井良幸・涌井貞美/KADOKAWA)

身近なモノに秘められた“感動もの”の技術、一挙解説! 身近な文具から、便利すぎるハイテク機器まで…あれもこれも、すべて「科学技術」の結晶なのです。日ごろよく使う「モノ」の“すごい技術”を図解でわかりやすく解説します。

この記事は書籍『身のまわりのすごい技術大百科』からの抜粋です

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