抜群の貯水力! 国土を守る巨大建造物「ダム」のしくみ/すごい技術

pixta_24155057_S.jpg私たちは毎日身のまわりの「便利なモノ」のおかげで快適に暮らしています。でもそれらがどういう仕組みなのか、よく知らないままにお付き合いしていませんか?
身近なモノに秘められた"感動もの"の技術を、書籍『身のまわりのすごい技術大百科』がわかりやすく解説します!

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●ダム

富山県の黒部(くろべ)ダムのように、巨大なダムには人を引きつける魔力がある。ダムに託(たく)された役割とは何なのだろう。

巨大建築物の例にもれず、大きなダムは人を魅了する。緑に囲まれた湖と巨大なコンクリートの人工物、その二つのコントラストが織り成す景観は、観光地になる条件を備えている。ダムには、美しいアーチを描いたダムや、単に岩が積み上げられたダムなど、さまざまな種類がある。その代表的な形を見てみよう。

重力式コンクリートダムは、コンクリート自身の重さによって、水がダムを押す力に耐えられるように造られたダムだ。堅(かた)い岩盤のところに造られ、日本ではもっとも多く見られる。

アーチ式コンクリートダムは、上流側に弓なりになったダム。水がダムを押す力をこの形によって両岸で支える。両側の岩盤は堅くなければならないが、コンクリートの量が重力式ダムの3割程度ですむため経済的だ。フィルダムは、土や岩のかたまりを積み上げて造られたダム。中心部に土で遮水壁(しゃすいへき)を設けたり、表面をコンクリートなどで遮水したりしている。基礎地盤があまり堅くないところでも建設できる。

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ダム建設には、おもに三つの目的がある。利水、治水、そして発電である。単一の目的に建造されたダムもあるが、多目的ダムといって、複数の目的を持つダムもある。ここでは治水用ダムに焦点を当ててみよう。

日本の川は急峻(きゅうしゅん)で、上流に大量の雨が降ると、膨大(ぼうだい)な水量が一気に下流に流れて洪水になる危険がある。そこで、流入する水量の一部を一時的にため込んで下流へ流す水量を減じ、下流における洪水被害の防止を図る。これが治水用ダムの役割だ。

この調整機能を洪水調節という。簡単にいえば、豪雨でたくさん水が流れてきたら、それをダムでいったん受け止め、安全な量だけ下流に流すということである。この機能を働かせるためには、流入する水の量を監視したり、大量の雨が予想される前には水を流したりと、常に周囲に気を配らなければならない。ダム管理は、日本の国土を影で守っているのだ。

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涌井良幸(わくい・よしゆき)

1950年、東京都生まれ。東京教育大学(現・筑波大学)数学科を卒業後、千葉県立高等学校の教職に就く。教職退職後の現在は著作活動に専念している。貞美の実兄。


涌井貞美(わくいさだみ)

1952年、東京都生まれ。東京大学理学系研究科修士課程修了後、富士通に就職。その後、神奈川県立高等学校教員を経て、サイエンスライターとして独立。現在は書籍や雑誌の執筆を中心に活動している。良幸の実弟。


 

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『身のまわりのすごい技術大百科』

(涌井良幸・涌井貞美/KADOKAWA)

身近なモノに秘められた“感動もの”の技術、一挙解説! 身近な文具から、便利すぎるハイテク機器まで…あれもこれも、すべて「科学技術」の結晶なのです。日ごろよく使う「モノ」の“すごい技術”を図解でわかりやすく解説します。

この記事は書籍『身のまわりのすごい技術大百科』からの抜粋です

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