除湿機も加湿機も、夏ではなく冬に使うべし!/すごい技術

除湿機も加湿機も、夏ではなく冬に使うべし!/すごい技術 pixta_33888480_S.jpg私たちは毎日身のまわりの「便利なモノ」のおかげで快適に暮らしています。でもそれらがどういう仕組みなのか、よく知らないままにお付き合いしていませんか?

身近なモノに秘められた"感動もの"の技術を、書籍『身のまわりのすごい技術大百科』がわかりやすく解説します!

◇◇◇

前の記事「長寿&速暖ヒーター登場。電気ストーブの人気が再燃/すごい技術(9)」はこちら。

 

●除湿機と加湿機

洗濯物の部屋干しに、冬の結露(けつろ) 対策に、除湿機は便利だ。この除湿機の反対の動作をするのが、加湿機である。

密閉性の高い現代の住環境では、除湿機が大活躍する。使ってみると、実によく水がたまるのだが、どうやって空気から水を取り出すのだろう。

家庭用に市販されている除湿機には2種類ある。コンプレッサー方式デシカント方式である。また、これらを組み合わせた方式もある。

コンプレッサー方式の除湿機はエアコンの冷房機能と同じしくみだ。エアコンの室内機と室外機をコンパクトにまとめた構造になっている。空気を冷やすと結露するが、その結露を取り出して排出することで除湿するのだ。実際、エアコンも、冷房時にはしっかりと除湿してくれるのは周知のことだ。

除湿機も加湿機も、夏ではなく冬に使うべし!/すごい技術 gijutsu_p071.jpg

 

デシカント方式の「デシカント(desiccant)」とは「乾燥剤」の意味で、この方式には実際に乾燥剤が利用されている。その乾燥剤で吸い取った空気中の水分はヒーターで熱せられて乾燥剤を離れるが、熱交換機で室温に冷やされ、結露・排出される。

両者とも、一長一短がある。コンプレッサー方式は除湿能力が高く大きな部屋にも使えるが、冷却が基本原理なので低温時にはその能力が落ちる。デシカント方式はシンプルな構造のため軽量・静音で、乾燥材を利用するので冬にも強い。しかし、電気代がかかる。

これらの構造からわかるように、両者の方式とも、利用すると室温を高めることになる。特にデシカント方式はヒーターを利用するため部屋を暑くする。冬はいいが、夏場は困る。夏の除湿にはエアコンが最適なのである。

一方、除湿機の反対の動作をするのが加湿器である。冬場にエアコンで暖房すると空気がカラカラになるので、備えておくと風邪対策に効果的である。加湿器の方式には下に示す三つが代表的。昔は超音波式が人気だったが、この方式で作られる水の粒子が粗いということで、近年はスチーム式や気化式が人気だ。こうすることで、室温を下げずに除湿できるのだ。

除湿機も加湿機も、夏ではなく冬に使うべし!/すごい技術 gijutsu_p073.jpg

 

次の記事「FMとAMでは、音声の電波への"乗せ方"が違う/すごい技術(11)」はこちら。

 

 

涌井良幸(わくい・よしゆき)

1950年、東京都生まれ。東京教育大学(現・筑波大学)数学科を卒業後、千葉県立高等学校の教職に就く。教職退職後の現在は著作活動に専念している。貞美の実兄。


涌井貞美(わくいさだみ)

1952年、東京都生まれ。東京大学理学系研究科修士課程修了後、富士通に就職。その後、神奈川県立高等学校教員を経て、サイエンスライターとして独立。現在は書籍や雑誌の執筆を中心に活動している。良幸の実弟。


71wldThg5lL.jpg

『身のまわりのすごい技術大百科』

(涌井良幸・涌井貞美/KADOKAWA)

身近なモノに秘められた“感動もの”の技術、一挙解説! 身近な文具から、便利すぎるハイテク機器まで…あれもこれも、すべて「科学技術」の結晶なのです。日ごろよく使う「モノ」の“すごい技術”を図解でわかりやすく解説します。

この記事は書籍『身のまわりのすごい技術大百科』からの抜粋です

この記事に関連する「暮らし」のキーワード

PAGE TOP